近年車を所有することにデメリットを感じる方も多く、車を所有しない時代になりつつあります。
とはいえレンタカーやカーシェアリングは車をたまにしか利用しない方向けのサービスで、日常的に車を利用する方には選択肢が殆どありませんでした。
そんな中、新たな選択肢としてうまれたのが、トヨタの新車を月々定額で乗れるサブスクリプションサービス『KINTO』です。
しかし、KINTOはローンで購入するより高いとも言われていて、利用すると損をしてしまうのではないかと不安を感じる方も多いでしょう。
ここでは、KINTOを利用した場合とローンで購入する場合のシュミレーションを比較し、KINTOを利用することで得する人はどんな人か解説します。
KINTOはローンで購入するより高い?
KINTOはトヨタの新車を月々定額料金で乗れるサブスクサービスで、ローンで購入する時と比較すればやや高いと言われています。
確かにKINTOの料金とローンの支払い額をそのまま比較しただけではKINTOのほうが高いです。
しかし、KINTOの場合は購入時にかかる環境性能割や自動車税、自賠責保険料や車検代などのメンテナンス費用まで全て月額料金に含まれています。
さらに、KINTOは自動車保険も料金に含まれていて、自分で新たに保険に加入する必要がありません。
ですから、KINTOとローンのどちらがお得かを見極めるためには、これら全ての費用を計算に入れてシミュレーションしなければなりません。
ちなみに、KINTOの公式サイト内でも支払いシミュレーションはできますし、簡単な入力だけでローン購入との比較も可能です。
かなり分かりやすい比較ができて参考になるため、KINTOの利用を検討しているなら一度やってみるとよいでしょう。
ただし、比較する時の注意点もいくつかあるので、このあと実際のシミュレーション結果をみながら解説します。
乗り潰すまで車を所有するならKINTOよりローンがお得
ローンが終わってからも車を乗り続けたい人は多いと思いますが、KINTOの場合は契約期間が終了したら必ず車を返却しなければなりません。
1台の車をできるだけ長く乗り続けたいならKINTOは不向きですし、そもそも車は基本的に長く乗れば乗るほどコスパは良くなるため、金銭面からみてもはじめから購入するほうがお得です。
確かに1台の車を長く乗ればメンテナンス費用は高くなっていきますし、下取りや買い取り額も期待はできなくなります。
しかし、メンテナンス費用が高くなるといっても、特殊な故障などがなければ急激に上がることは殆どありません。
走行距離が10万km、または10年付近は交換部品が多くなるため、一時的にメンテナンス費用は高くなりますが、それでも車を買い替えて新たに支払う金額よりは安いはずです。
ですから、もし1台の車を乗り潰すまで乗るつもりであれば、はじめから購入することを検討したほうが良いでしょう。
ちなみに、車の買い替え時期については下記の記事でも解説しています。興味があれば参考にして下さい。
KINTOとローンで車を購入する場合のシミュレーション比較
KINTOの公式サイトではシミュレーションも可能で、例えばヤリスを新車で購入した場合のシミュレーション結果は以下の通りです。(利用期間3年、保険は全年齢対象の場合)
KINTO | 現金一括 | ローン(金利5%) | |
車両・オプション代 | 料金に含まれる | 1,535,300円 | 1,535,300円 |
税金・諸費用 | 161,480円 | 161,480円 | |
任意保険・メンテナンス | 931,905円 | 931,905円 | |
分割手数料 | 0円 | 121,210円 | |
下取り価格 | 返却 | 690,885円 | 690,885円 |
総支払額 (下取り額も想定済) |
1,366,200円 | 1,937,800円 | 2,059,010円 |
月々の支払額 | 37,950円 | 53,828円 | 57,100円 (初回は60,510円) |
※KINTO公式サイトより参照 ※上記はあくまでシミュレーションによる結果です。価格の変動によって結果が変わる場合もあるため、参考程度にご覧ください。
このシミュレーション結果を見る限り、3年で乗り換え、もしくは売却するつもりであれば、ローンで購入するよりKINTOのほうが月々2万円近くお得ということになります。
総支払額の差は約69万円もあり、3年で車を手放す予定なら圧倒的にKINTOが得です。
ちなみに、利用期間を5年に変更してシミュレーションした場合は、KINTOの月々の支払額が35,310円、ローンが48,500円となり、その差は月額約1万3千円まで小さくなります。
しかし、総支払額の差は約79万円まで広がり、5年で乗り換えや売却する予定の場合もKINTOを利用したほうがお得という結果になりました。
さらに、利用期間を7年に変更した場合も月額料金は殆ど変わらず、総支払額の差は118万円まで広がる結果になっています。
年齢(任意保険の等級)を変更すると
利用年数ではなく年齢(任意保険の等級)だけを変更した場合をシミュレーションしてみると、KINTOの利用料金は年齢を変更してもそのまま変わりません。
しかし、ローンで購入した場合の支払い額が大幅に安くなり、それぞれ月の支払い額は26歳(14等級)で43,600円、35歳(18等級)だと41,800円になります。
ローンの月々の支払額が年齢を変更するだけで1~1.5万円程度安くなりましたが、これは任意保険の等級や年齢制限による割引で保険料が下がった影響です。
さらに、利用期間5年、年齢を35歳(18等級)でシミュレーションした場合、KINTOとローンの月額料金の差は殆どなくなり、月額1,000円程度ローンのほうが高いだけという結果に。
つまり、KINTOは基本的に利用期間が短く、年齢が若い(任意保険の等級が低い)ほどお得だということが分かります。
逆に、利用期間が長くなればなるほど、年齢(保険の等級)が高くなればなるほどローンとの差は小さくなるということです。
公式サイトのシュミレーション結果を見る際に注意したい点
公式サイトのシミュレーションを見る際は、
- 車両代に値引き額が考慮されていない
- 任意保険の保険料は条件次第で大幅に変動する
- 下取り額は車の状態や売却先によっても変動する
といった3つの点に注意して下さい。
新車を購入する場合、基本的には値引き交渉が可能で、車両価格が高いほど値引き額も大きくなる傾向にあります。
先ほど紹介したヤリスは車両本体価格が比較的安いですが、それでも5~10万円程度の値引きは期待できるでしょう。
次に、最も大きく変動する可能性があるのは任意保険です。KINTOでは標準でかなり手厚い保険がついているため、保険料もかなり高めにシミュレーションされています。
年齢や等級によって保険料が大きく変わるのはもちろんですが、車両保険をつけない場合や保険会社によっても安くなる可能性は高いので、その点も考慮して比較してください。
最後に、公式サイトのシミュレーションでは下取り価格を3年で45%、5年で30%として計算しています。
これ自体は妥当な計算ですが、車種によってはリセールバリューの高い車もありますし、距離をあまり乗らない方はもっと高く売れるかもしれません。
また、ディーラーの下取り価格は他社よりも低いことが多く、売却先を変えるだけでも高く売れる可能性は十分あるでしょう。
ちなみに、KINTOでは走行距離が制限されていて、月間1,500km以上乗る場合は追加料金が発生します。通勤などで距離を多く乗る方は注意して下さい。
距離の制限はカーリースや車サブスクでは一般的なことで、KINTOに限ったことではありません。詳しくは下記の記事でも解説しているので参考にして下さい。
KINTOを利用して得する人、KINTOの利用に向いている人
ここまでKINTOとローン購入の場合を比較してきましたが、利用する人によってKINTOを利用したほうが得なのか損なのかは変わることが分かったと思います。
まず、KINTOを利用して得する人、またはローンで購入するよりKINTOが向いている人は以下のような人です。
- 車の維持費を毎月定額にしたい人
- 比較的短いスパンで車を乗り変えたい人
- 年齢が若い、保険の等級が低い人
- 個人事業主や法人で車の費用を経費計上したい人
- 免許の返納や海外出張の可能性がある人
KINTOの魅力は、車にかかる維持費を定額にして、気軽に乗れる点にあります。
3年や5年程度で乗り換える場合もスムーズに手続きできるので、常に新しいモデルに乗っていたい人にもおすすめです。
また、年齢が若い人や初めて車を購入する人は任意保険の料金がかなり高いので、KINTOの利用に向いているといえます。
個人事業主や法人で車の費用を経費として計上したい場合にもおすすめで、複雑な減価償却の計算をする必要がなくなるため、車両費の管理が楽になるでしょう。
最後に、少し特殊な事例になりますが、KINTOは免許の返納や海外出張であれば中途解約の手数料がかかりません。
もし海外出張する可能性があったり、近い将来免許の返納を考えているのであれば、KINTOを利用するメリットは大きいと思います。
KINTOを利用で損をする可能性がある人、KINTOの利用に不向きな人
一方、以下のような人にはKINTOの利用は向いていません。場合によってはローンで購入するよりも損をする可能性があります。
- 年齢の高い人、既に保険の等級があがっている人
- 十分な頭金を用意できる人
- 1台の車をできるだけ長く乗りたい人
- 車が好きでカスタマイズやドレスアップを楽しみたい人
KINTOの料金には任意保険も含まれていて、誰が利用しても同じ料金というのが特徴です。
ですから、年齢制限をかけて保険料を安くできる人や、等級の高い人にとってはデメリットとなり、余計な保険料を払うことになるかもしれません。
十分な頭金を用意できる人もローンの支払いや金利を安く抑えることができるので、KINTOを利用すると損をしてしまう可能性が高いでしょう。
また、1台の車を乗り潰すまで乗るつもりの人や、車好きでカスタムなどを楽しみたい方にもKINTOは不向きといえます。
1台の車を乗り潰すまで乗るつもりなら、ローン終了後の維持費はかなり低くなりますし、基本的に車は長く乗れば乗るほどコスパは良いです。
KINTOの場合、カスタマイズやドレスアップについては一応認められてはいますが、返却時には元に戻さなくてはいけないため、できることがかなり制限されてしまうのでおすすめしません。
数あるリース会社の中には利用期間後に車を自分のものにできるところもあるので、車を改造していじりたいという人はそういったリース会社を選ぶと良いと思います。
まとめ
KINTOの料金は高いと思われがちですが、メンテナンス費用や保険までコミコミの料金になっているため、同じ水準で比較してみると意外に安いです。
特に若い人や初めて車を買う人は、自分で任意保険に入ると高いので、KINTOの料金と比較しても魅力的に感じるでしょう。
しかし、逆をいえば年齢が高い人や、既に保険の等級があがっていて割引を受けられる人には、KINTOを利用しても金銭的なメリットは殆どありません。
KINTOを利用している限り自分名義の保険に入らないことになるため、何年経っても等級が上がらないという点も理解しておく必要があります。
ちなみに、KINTOをはじめとしたカーリースや車のサブスクを利用する場合、契約にあたって車庫証明書が必要です。
自宅に車庫が無い場合は近くの月極駐車場を借りることになるため、その料金も考慮しておく必要があります。
車庫証明書は基本的に自分で取得することになるでしょう。リースやサブスクはオンラインでの契約も多いので、分からない方は下記の記事も参考にして下さい。