カーリースは契約満了時に車を返却するのが一般的ですが、追加で料金を払うことなくそのまま車がもらえるプランも増えてきています。
カーリースでは車を返却しなければいけないことや走行距離の制限、返却時に精算金が必要になることなどがデメリットでしたが、もらえるプランならこれらの問題はすべて解決です。
一見メリットばかりのプランにみえますが、カーリースのもらえるプランには大きな落とし穴があります。
メリットよりもデメリットのほうが大きいので、カーリースのもらえるプランはおすすめしません。
ここでは、カーリースのもらえるプランについて解説し、メリットやデメリットをまとめました。これから利用を検討している人は参考にしてください。
カーリースのもらえる(返却不要)プランとは?
カーリースは契約満了時にその車をどうするか、以下のような4つの選択肢から選べるようになっているのが一般的です。
- 返却
- 乗り換え
- 再リース
- 買取り
カーリースのもらえるプランとは、契約満了時に車を買取りすることなく無償で自分のものになるプランのことをいいます。
はじめから車の返却が不要ということは、走行距離やカスタマイズなどの制限を気にすることなく自由に利用できるということ。
車がそのまま貰えるので得したような気がすると思いますが、実際は契約終了時の残価(下取り価格)を0円に設定しているというだけです。
つまり、ローンで車を購入したようなもので、車両価格分はしっかり払っているため得をしているわけではありません。
もらえるプランも色々な形があり、途中で返却や乗り換えができるプラン、オプション料金を払って追加する形など、リース会社によって違います。
もらえるプランは長期契約となっている場合が多く、新車の場合は基本的に7年以上のプランが一般的です。
もらえる(返却不要)プランのメリット
カーリースのもらえるプランには、以下のような3つのメリットがあります。
- 月々の支払いを抑えて車が所有できる
- 走行距離制限を気にせず利用できる
- カスタマイズやドレスアップが自由にできる
月々の支払いを抑えて車が所有できる
カーリースは税金やメンテナンス費用などを含めて定額にできるのが魅力ですが、短期間の契約になると月額料金も高くなってしまいます。
しかし、もらえるプランなら長期契約となるため、月額料金を安く抑えて最終的に車を所有することが可能です。
短くても7年程度、長いと11年といったプランもあり、契約期間が長ければ長いほど月額料金は安くなるでしょう。
メンテナンスプランをつけたり、メーカー保証などを延長できるサービスも多く、契約期間が長くても安心して乗ることができる点もメリットといえるかもしれません。
走行距離制限を気にせず利用できる
カーリースは最初に設定した残価(下取り価格)を下回らないために、契約期間中の走行距離に制限が設けられているのが一般的です。
しかし、もらえるプランなら最終的に自分の車になるので、走行距離を気にする必要はありません。走行距離制限がデメリットに感じていた人には大きなメリットとなるでしょう。
ただし、もらえるプランも様々で、契約満了前に返却や乗り換えもできるプランがあります。
途中で返却や乗り換えを選ぶ場合、決められた走行距離をオーバーした分は追加料金が発生するので注意してください。
カスタマイズやドレスアップが自由にできる
カーリースは車を返却する場合に原状回復義務があります。そのため、車のカスタマイズやドレスアップを禁止しているサービスも多いです。
カスタムなどが禁止されていたり、返却時に元に戻すのが面倒だからカーリースを利用しない人もいると思いますが、もらえるプランなら最終的に自分の車になるのでカスタムなども自由。
ただし、走行距離と同じように契約の途中で気が変わり、返却や乗り換えをする場合は車を元の状態に戻さなくてはいけません。
仮に戻せない個所があった場合、マイナス査定となれば追加料金を払うことになるので注意が必要です。
もらえる(返却不要)プランのデメリット
カーリースのもらえるプランには、以下のようなデメリットがあります。
- 支払い総額が高くなる
- 長期契約になる
- 故障のリスクが高くなる
支払い総額が高くなる
特に明記されていないので知らない人も多いようですが、カーリースにもローンで購入するときと同じように金利手数料(リース料率)がかかっています。
リース料率は公表されていない場合が殆どですが、一般的には銀行ローンの金利より高い場合が多いです。
カーリースのもらえるプランは残価が0円で設定されているため、本体価格すべてに金利がかかるということ。
車両本体価格すべてに金利がかかるのであれば、カーリースよりも金利の低いローンで購入したほうが安く済むでしょう。
また、カーリースは車両本体価格だけでなく、自動車税や自賠責保険料、メンテナンス費用などをまとめて定額料金にしています。
つまり、車両代以外の費用にも高い金利がかかっているということです。
これがカーリースは損だといわれる理由の1つでもありますが、もらえるプランは長期契約になるため、車両価格以外の費用も高額になることは避けられません。
このように、もらえるプランは月額料金だけみると安くみえますが、実際に支払う総額は購入時より高額になるという大きなデメリットがあります。
長期契約になる
先ほどカーリースにも金利手数料(リース料率)がかかることはお伝えしましたが、カーローンと同じように契約が長期になればなるほど金利は高くなります。
とはいえ、もらえるプランは残価を0円に設定する必要があるため、契約期間を短くしたくてもできない場合が多いです。
もらえるプランを利用する限り長期契約になることは避けられず、長ければ長いほどかかる金利も高くなってしまうでしょう。
また、カーリースは基本的に中途解約不可で、やむを得ず解約する場合は違約金が発生します。
解約の意思がなくても車が全損となるような事故をおこした場合は強制解約となり、この場合も違約金が発生するので注意してください。
このように、もらえるプランは7年以上の長期プランになる場合が殆どで、長期契約になるほど金利や事故などのリスクが高くなるというデメリットがあります。
故障のリスクが高くなる
カーリースのもらえるプランは長期契約になるため、故障するリスクや事故をおきるリスクも高くなります。
メンテナンスプランに加入しているから安心!と思うかもしれませんが、対象が消耗品などの交換程度になっている場合も多く、故障の内容によっては修理費用を別途請求される可能性も高いです。
故障内容によっては数十万円という修理費用がかかる可能性もあるので、メンテナンスプランや故障時の補償などをよく確認してから利用して下さい。
利用するカーリースによっては、長期プランの故障リスクに対応するために、メンテナンスプランに加入することで新車の補償を延長できる場合もあります。
その分月額料金は上がりますが、長期プランでカーリースを利用する場合は検討しても良いかもしれません。
もらえる(返却不要)プランを利用した場合とローン購入時の比較
もらえるプランは支払い総額が高くなるデメリットがあるとお伝えしましたが、実際にローン購入時と比較してどの程度の差があるかシミュレーションしてみましょう。
以下の価格はダイハツのタントをフルローンで購入した場合と、カーコンカーリースのモロコミ7を利用した場合の総額料金です。(タントのグレードXを諸費用込み160万円として試算)
- 7年フルローン(金利3%)・・・1,775,865円
- もろコミ7(メンテ無し)・・・2,282,280円
あくまで概算ですが、単純に銀行ローンと比較すると約50万円の差があります。
ただし、もろコミ7には自動車税や重量税、自賠責保険料や車検基本料金が含まれているため、ローン購入時の総額にこれらの料金を加えなければなりません。
とはいえ、軽自動車の税金は安く、エコカーによる減税も受けられるので、多めにみても20万円程度でしょう。
つまり、銀行ローンで購入する場合と比較して約30万円の差があることになります。おそらくメンテプランをつけるとこの差はもっと広がるはずです。
もちろん概算価格による試算であるため、実際の金額とは誤差もあると思います。
しかし、もらえるプランを利用するということは、これだけ余計な費用を払うことになるということは理解していただけたのではないでしょうか。
また、もらえるプランでなくてもカーリースはこの他にデメリットがあります。
よくわからずカーリースを利用して後悔しないように、下記の記事にまとめたよくある失敗事例なども参考にしてください。
まとめ
カーリースのもらえるプランは魅力的に見えますが、長期契約になることが避けられず、支払い総額がかなり高くなるため、基本的にはおすすめしません。
カーリースのもらえるプランは、ローンと同じように車両価格を全額払っているだけなので、どうせ購入するなら銀行などの低金利のローンを利用したほうがお得です。
車の維持費を定額にしたいなら検討する余地はありますが、損得で考えるなら損をするだけなので、よく理解してから利用しましょう。
また、カーリースは基本的に購入するより高くなる傾向にありますが、使い方や利用する人次第では安くなる場合もあります。
特にクルカというサービスは3年毎に新車を乗り換えたいという人にはかなりおすすめ。他社よりも圧倒的に高い残価設定で人気車種が安く利用できます。
新車を3年毎に乗り換えるなんて考えたこともなかった!という人が殆どだと思いますが、料金をみれば気が変わるかもしれません。
興味のある人は下記の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。