車検証を電子化するという検討会は2018年から行われていて、2023年1月からの導入を目指して準備が進められています。
さらに、検査登録窓口での手続きにおいてもキャッシュレス化が検討されており、2021年7月にその基本方針が発表されました。
これらが実現されれば、今までわざわざ陸運支局などにいかなければならなかった手続きが不要になり、手続きにかかる時間も大幅に短縮されるでしょう。
国土交通省では、このような自動車登録手続きにおけるワンストップサービス(OSS)の推進を強力に進めています。
ここでは、気になる車検証の電子化についてや、オンライン申請などの情報をまとめました。
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車検証の電子化について
車検証の電子化については2018年から11回の検討会が開催され、2020年6月に報告書が公表されました。
この報告書をもとに国道交通省がさらに検討し、実際にどのような結論を出すか気になるところですが、現時点でわかっている情報をまとめます。
車検証電子化の開始時期
車検証電子化の開始時期については、2023年(令和5年)1月を予定しており、それに向けて制度改正やシステムの構築などに取り組んでいるとのこと。
実際、既に車検証の電子化に対応するために道路運送車両法の一部は改正されていて、2020年4月に交付されています。
電子車検証の形状やサイズについても検討は進んでいて、特に問題がなければ予定通り実現されるでしょう。
電子車検証の形状とサイズ
電子車検証はICカード化される予定で、検討会の段階では免許証などと同じサイズで考えられていました。
しかし、その後の国土交通省から発表された内容によれば、コスト面などから総合的に判断した結果、『A6サイズ程度の台紙にICタグを貼り付ける方式を採用』したとのこと。(下記参照)
画像参照:電子車検証イメージ(国土交通省)
A6サイズ+ICタグ分の余白ということですから、中途半端に大きなサイズになり、既存の車検証と同じように車内へ積んでおく形になるのでしょうか。
参考までにA6サイズというのは105mm×148mmで、一般的な文庫本程度の大きさということ。
現時点では台紙にICタグを張り付けるということですし、私たちがイメージしていたICカードとはまた少し違った形になりそうです。
電子車検証によるメリット・デメリット
現在発行されている紙の車検証から電子車検証になることによって、最も大きなメリットを得られるのは車検業者でしょう。
これまでは国の指定工場であっても、新しい車検証の交付を受けるために陸運支局などに出向く必要がありましたが、電子車検証になればそれが不要になるからです。
ユーザー側にとってもディーラーや整備工場などで車検を受ける際、後日車検証が送られてくるということや、取りに行くという手間がなくなります。
また、内臓のICチップには車両情報が記録されることはもちろん、空き領域を利用して様々な利用方法が検討されています。
例えば、過去の整備履歴や点検内容、自動車保険の情報など、どこまで利用範囲が拡張されるかは検討中ですが、これらが実現すれば便利になることは間違いありません。
ただし、電子化にあたって発行手数料が増加する可能性や、ICチップに記録される個人情報の漏洩など、いくつかデメリットも考えられるので、今後の動向に注意する必要があるでしょう。
自動車検査登録手続きのオンライン申請やキャッシュレス決済について
国土交通省では、自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)推進の一環として、自動車の各種登録手続き、税や手数料の納付手続きを簡潔にするため、オンライン化を進めています。
さらに、キャッシュレス化やデジタル化によるさらなる利便性の向上を目指していて、2021年7月には『自動車検査登録手続の窓口業務フロー見直しに向けた基本方針』を公表しました。
これによると、現状の課題として以下のような問題点があるとのこと。
- 検査登録手数料や重量税の支払いが印紙のみ
- 窓口が分かれていて複数個所で支払いが発生する
- 申請書や添付書類の確認に時間がかかる
- 待ち時間が長くて進捗状況もわからない
- 運輸支局などの人員不足
- 書類の保管や照会への負担が大きい
これらの問題点を解決するためにも、キャッシュレス化やデジタル化を早急に進める必要があります。
オンライン申請やキャッシュレス決済で変わること
まだ詳細が決まっていない部分も多いですが、まずはPCやスマホを利用して申請書を作成できるサイトを用意し、クレジットカードでの事前決済ができるようになるとのこと。
これまでの申請書は専用のOCRシートになるため、基本的には手続き当日に陸運支局などで入手し、その場で作成しなければならず、混雑する要因の1つになっていました。
事前に書類を作成して支払いまでできるようになれば、あとは書類を提出するだけなので、手続きもスムーズにいきますし、大幅な時間の短縮になるでしょう。
さらに、その後はQRコード決済などにも対応し、申請もオンラインで可能になる予定。ここまでいけば陸運支局などに行くのは車検証の交付時だけになるため、かなり便利になりそうです。
また、このままではオンラインになるだけで書類作成は大変なままですが、マイナンバーカードやこれから導入されるIC車検証も活用できれば、書類に入力する内容も省略できるようになります。
申請に必要な書類も少なくなる可能性があり、今より手続きが簡単にできるようになるでしょう。
オンライン申請やキャッシュレス決済の導入時期
国土交通省の出した基本方針によれば、
- PC/スマホ画面から書類作成できるサイトの導入
- 書類の審査や手続きの進捗状況がわかるシステムの導入
この2つについては令和4年のできるだけ早い時期に導入予定となっています。
検査登録手数料と自動車重量税をクレジットカードで支払いできるようにするためには、法改正も必要になるようなので、令和4年通常国会での実現を目指して検討中とのこと。
その他についてはまだ実現時期は調整中になっていますが、上記の点が実現されれば順次実現されていくでしょう。
そもそも今の状況が時代遅れのシステムで問題だらけということですから、余程の問題がなければ実現に向けて早急に動いていくはずです。
まとめ
車検証の電子化は2023年にも導入される予定で、導入されれば複雑で手続きに手間のかかるイメージだった車の登録手続きが大きく変わるはずです。
オンライン申請やキャッシュレス化も同時進行で進んでいるようなので、車業界にいるものとしてはどれだけ便利になるか楽しみで仕方がありません。
一般の方でも、これまでよく分からなくて業者に依頼していた名義変更や住所変更、廃車などの手続きが簡単になれば、余計な手数料を支払わなくてよくなるはずです。
まだ導入時期や決まっていないことも多いですが、今後も情報がわかり次第更新していきたいと思います。
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