車検時にブレーキパッドの交換を勧められることって多いですよね?でも実は、ブレーキパッドの残量が例え1mmしかなくても車検には通ります。
なぜなら、車検ではブレーキの制動力を検査しますが、パッドの残量の検査は無いからです。つまり、ブレーキさえ効いていれば車検には通るということ。
とは言っても、もちろんパッドの残量が少ない状態では危険ですし、そのまま乗り続けると交換しなければいけない部品が増えて高額な修理費がかかってしまうこともあります。
本記事では、車検とブレーキパッドの関係性や、交換時期の目安についてご紹介します。

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ブレーキパッドの役割と仕組み
ブレーキパッドがブレーキに関係する部品だということは分かっていても、実際にどんな役割があって、どんな仕組みになっているのでしょうか?
ブレーキの仕組みは意外と簡単なもので、タイヤと一緒に回転しているディスクローターをブレーキパッドで挟み込み、その摩擦力で車を減速させています。
ちなみにディスクローターというのは、ホイールを覗くと見える円盤状の金属部品のことです。
もちろん、足でブレーキペダルを踏む力だけで車を止めることはできませんから、ブレーキオイルの油圧回路を利用し、その力を何倍にも増幅させています。
ベーパーロックやフェード現象が起こる理由
少し話は脱線しますが、上記のようにブレーキは摩擦力で減速しており、その際には大きな熱が発生します。
通常はすぐに放熱しますが、ブレーキを酷使すると放熱が間に合わなくなり、限界に達して正常な摩擦力を発生できなくなってしまいます。
これをフェード現象といい、フェード現象はブレーキパッドの残量に関係なく起こります。
また、ブレーキの放熱が間に合わなくなると、熱はブレーキオイルにも伝わり、沸騰して気泡が発生してしまい、圧力がかからなくなります。
これをベーパーロック現象といいます。ブレーキオイルは吸湿性がとても高く、空気中の水分を吸収し、沸点が下がります。
走行距離が少なくても車検の際にブレーキオイルの交換を勧められるのは、ブレーキオイルの性能が時間と共に劣化するものだからです。
車検に通るブレーキパッドの厚さと保安基準
ブレーキパッドの残量が少ないと交換を勧められますが、車検に通らないわけではありません。
車検は保安基準に適合しているかを検査するものなので、制動力が基準値以上の数値であれば合格となります。保安基準でブレーキパッドの残量が何ミリ以上必要、といったことはありません。
例えブレーキパッドの残量が1mmしかない状態であっても、制動力が基準値を満たしていれば車検には通るということです。
実際、陸運局に直接車を持ち込んで車検を受ける場合、検査員が直接ブレーキパッドの残量を確認することはありません。正確な残量を測定するには、タイヤを外さない限りできないからです。
指定工場の場合は通さないこともある
いくら車検に通るとはいっても、ブレーキパッドの残量が少ないことは、危険であることに変わりはありません。
指定工場などでは陸運局より厳しい基準を設けていることも多く、何mm以下は車検に通さないと決めていることもあります。
この場合は、ブレーキパッドの残量を確認し、交換しなければいけない理由をしっかり聞いてから交換を検討しましょう。
とはいっても、本当に今すぐ交換する必要があるのかどうかなんて、正しい知識がなければわかりませんよね?
少しでも車検代を安く抑えたいのであれば、今交換が必要ないものはできるだけ省きたいという気持ちも分かります。
言われるがまま交換するのが嫌であれば、ブレーキパッドの残量を聞き、自分で判断する必要があります。
ブレーキパッドの交換時期と目安
ブレーキパッドの減り具合は、メーカの違いや車の乗り方、車の重量等によっても異なるので、距離や年式などでは一概に言えません。
新品のブレーキパッドの厚さは約10mmありますが、3mm以下であれば交換時期と言えるでしょう。
また、ブレーキパッドには交換時期を知らせるパッドウェアインジケーターというものが付いています。このパッドインジケーターには、2種類のタイプがあります。
1つは残量が少なくなると、金属片がディスクローターに当たって「キー」っと音を出す機械式タイプ。
もう1つは電子式のセンサーが付いていて、残量が少なくなるとメーターにある警告ランプで知らせるタイプです。
どちらのパッドインジケーターも厚さが残り2~3mm程度で設定されているものが殆どでしょう。このことからも、ブレーキパッドの交換時期は厚さ3mm以下というのが一般的な目安であることがわかります。
パッドインジケーターが付いているのであれば、音が出たりランプが付いたタイミングが交換時期です。
ただ、パッドインジケーターは、全てのブレーキパッドについているわけではありません。
通常はブレーキパッドの片面にしか付いていないので、パッドの減り方に差がある場合、
音やランプが付かなくても片方が交換時期を過ぎているということもあります。
交換時期を見逃さないためにも、ブレーキパッドは定期的に点検して、残量を把握しておきましょう。
交換を提案されるタイミングは場所によって異なる
上記のように、ブレーキパッドの一般的な交換時期は厚さ3mm以下ですが、場所によっては厚さ5mm以上あっても車検時に提案するところはあるでしょう。
車検業者によっては、次の車検までに寿命を迎えそうな部品は、全て交換を提案するところも多いからです。これは、必ずしも車検の利益を目的にしているというわけではありません。
日本は車検制度があるおかげで、車検を受けたら次の車検までメンテナンスを殆どしないという方も多いです。
それどころか、車検を受けたら次の車検までは何の問題もなく乗れるものだと思っている方も一定数います。
メンテナンスをしない方が、ブレーキパッドの残量が少ないことを知らずに、車を運転し続けるのはとても危険ですよね。
ですから、安全に車が乗れることを優先し、早めの交換を促しているというだけなのです。
ただ、この場合は今すぐ交換する必要の無い部品まで交換することになり、車検の費用が高くなってしまうというデメリットもあります。
ブレーキパッドが1mm減るのは何キロ走行した場合?
車検の費用をなるべく安く抑えるためには、今すぐ交換する必要のない項目を省き、適切なタイミングで必要な整備をしていくことが重要です。
ブレーキパッドの残量がわかれば、あと何キロくらい乗れるのかはある程度把握できます。あくまで目安としてですが、ブレーキパッドは約1万キロで1mm減ると考えられています。
例えば、ブレーキパッドの残量が厚さ5mmなら交換時期の目安まで2万キロ程度は走れるということです。
新車時や前回の車検時から何キロ乗り、パッドがどの程度減ったかが分かればもう少し正確な減り方が分かります。
但し、ブレーキパッドを限界まで使用するというのはあまりおすすめしません。ブレーキパッドの減り方は、車の乗り方や重量によっても変わりますし、メーカーによっても違いがあるからです。
ギリギリまで交換を我慢した結果、ブレーキパッドの交換だけでは済まないケースもあるので注意しましょう。
ブレーキパッドを交換しないとどうなる?
ブレーキパッドの交換時期を過ぎてそのまま使用した場合、パッドの部分がなくなって金属部分がディスクローターと接触します。
そこまでいくと、激しい異音とともにディスクローターも削れてしまうので、ブレーキパッドの交換だけでは済まなくなります。
ブレーキパッドの交換費用と比べて、おそらく倍以上の費用がかかることになるでしょう。
また、ブレーキパッドの残量が減るということは、それだけブレーキオイルに熱が伝わりやすくなるということです。
ブレーキオイルの劣化も早まり、ベーパーロック現象などが起こりやすくなるリスクもあります。
さらに、ブレーキをいつもより深く踏まないと効かないようにもなるため、重大な事故に繋がる可能性も高いです。
このように、ブレーキバッドの交換時期を間違えれば良いことは1つもありません。できるだけ余裕を持って早めの交換をおすすめします。
ブレーキパッドは車検時に交換した方が安くなる場合もある!
車検時にタイミング良くブレーキパッドの交換時期を迎えるケースは少ないかもしれません。
もう少し乗れそうだけど、交換時期も近いという場合は、車検時にお願いしたほうが安くなる場合もあります。
というのも、車検には24ヶ月点検が含まれているのが一般的で、点検の過程でブレーキパッドの交換もついでに出来てしまうからです。
ブレーキパッドの交換にかかる手間が24ヶ月点検に全て含まれるわけではないので、さすがに工賃無料というわけにはいきませんが、割引になる可能性は高いでしょう。
実際、整備振興会が定めているブレーキパッド交換の標準作業点数(※)も車検時と一般整備では違います。※その作業にどのくらいの時間がかかるかを点数に表したもの整備振興会が発行し、工賃を決める目安となっている
ただ、整備工場によってどのような基準で工賃を決めているのかは分からないので、必ず割引になるとは言えません。
良心的な整備工場であれば、通常の交換と車検時では料金に違いがあるはずなので、一度聞いてみても良いかもしれませんね。
ブレーキパッドの交換はお早めに!
いかかでしたか?ブレーキの不具合は重大な事故に繋がるため、車の中でも特に重要な部分です。
ブレーキパッドの減り方は一定ではないので、安全のためにも交換時期がきたら早めに交換することをおすすめします。
必ず車検時に交換する必要はないですが、車検時に交換するとお得な場合もあります。少し早めでも損はしないと思うので、担当者と相談しながら良く考えて交換しましょう。
また、車検はどこに出すかによっても金額が結構変わってきます。基本的にやることは同じなので、安くて信頼できる業者を選ぶことが大切です。
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