ディーラー車検は高すぎ?高い理由やメリット、相場を紹介!

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yasu

自動車整備士として車業界に15年以上携わり、修理の知識はもちろん車の売買からコーティングまで幅広い知識をいかして記事を執筆。国家資格の自動車整備士免許だけでなく、中古車査定士などの資格も取得しています。

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自家用車であれば、新車購入時を除き、2年毎にやってくる車検。車を安全に乗るためには必要な定期点検です。

必要だと分かってはいても、車検の費用は高いイメージがあり、車を乗る方にとっては大きな出費になりますよね。

そんな車検の費用を安く済ませるには、どこにお願いするかがとても重要です。特にディーラー車検の費用は相場より高く、場合によっては数万円の差が生じることもあります。

本記事では、良く分からない車検の仕組みや相場がどれくらいなのかについて比較してまとめました。また、併せて車検の費用を安く済ませる方法も併せてご紹介します。

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【車検の豆知識】車検は公式サイトから予約したり、店舗に直接申し込むことも可能ですが、楽天Car車検から予約するとポイントも貯まるのでお得です。

【業者別】車検費用の相場比較

新車を購入した方だけでなく、中古車を購入した方でも、ディーラーで車検をお願いするという方は多いと思います。

その一方で、『ディーラの車検は高い』という認識をしている方も多く、その他の整備工場やガソリンスタンド等で車検を受ける方もいます。

では、実際ディーラーとその他の車検業者ではどの程度の価格差があるのでしょうか?

車検費用の相場比較

車検は車種や車の状態、地域や店舗によっても変わるので、正確な金額は見積りを取ってみなければ分かりません。

ここで紹介するのはあくまでも概算の相場ではありますが、どのくらい差があるのか見てみましょう。

以下の料金は、中型車(重量1.5t以下)で、追加整備が発生しない場合の参考価格です。

  • ディーラー・・・8~9万円程度
  • 車検専門店・・・6~7万円程度
  • 民間車検場・・・6~7万円程度
  • カー用品店やガソリンスタンド・・・5.5~6.5万円程度

確かにこう見るとディーラーの車検は約2万円ほど高いですね。では、なぜディーラーの車検は高いのでしょうか?続いて、車検費用の内訳を詳しくみてみましょう。

車検にかかる費用の内訳

ディーラーの車検がなぜ高いのか、その他の業者が安いのかを理解するために、まず車検にかかる費用の内訳から説明していきます。

車検にかかる費用の内訳を見てみると、大きく分けて以下の3種類に分けられます。

  • 重量税や自賠責保険などの『法定費用』
  • 24ヶ月点検や検査料などを含む『車検基本料』
  • 追加整備に伴う部品代や工賃などの『整備料金』

日頃から車のメンテナンスを行っていたり、特に問題が無ければ、車検にかかる費用は基本的に『法定費用』『車検基本料』だけになります。

法定費用は車種によって金額が変わりますが、車検を依頼する業者によって変わることは基本的にありません。(※)

しかし、車検基本料や整備料金については、どこに依頼するかによって差が生じます。これが車検にかかる費用が業者によって違う理由です。

※法定費用に含まれる印紙代だけは、認証工場か指定工場かによって数百円の差があります。

ディーラーの車検が高い理由

ディーラーの車検が高いと言われる理由は、車検専門点や整備工場、ガソリンスタンドなどに比べて車検基本料整備料金が高めに設定されているからです。

ディーラーは車検基本料が高い

まず、車検基本料は3つの項目に分けられます。業者によって呼び方の違いはありますが、

  • 24ヶ月点検の点検料
  • 検査料
  • 事務手数料や代行手数料

といったところです。

検査料とは、保安基準に適合しているかどうかを検査する機器があり、その使用料です。これについては、多少の違いはあってもそこまで大きく費用が変わることはありません。

特に差が出やすいのは24ヶ月点検の料金で、ディーラーだと20,000~25,000円程度の場合が多いです。

一方、車検専門のフランチャイズ店やガソリンスタンドなど、安い業者では10,000円前後の場合もあります。さらに、意外と見逃しがちなのが事務手数料や代行手数料と呼ばれる費用。

ディーラーでは15,000円程度かかることが多いですが、他の業者では5,000円程度で済んでしまう場合もあります。

これだけでも、20,000~25,000円近くの差が生じることもあり、ディーラーの車検が高い理由です。

ディーラーは整備料金(部品や工賃)が高い

次に、整備料金についてですが、冒頭で紹介した相場比較には含まれていない金額です。

つまり、ディーラーの整備料金が高いと他の業者よりさらに金額が高くなるということですが、整備料金も全体的にディーラーのほうが高くなる傾向にあります。

その理由は、以下の2つです。

  • 交換する部品は純正部品を使用することが多い
  • 作業工賃の単価が高めに設定されている

ディーラーの場合は、新車を販売している立場もあり、純正部品を使用するのが普通です。

しかし、整備工場などにはその縛りはないので、純正部品だけでなく、それ以外のメーカーが販売している部品も積極的に使用できます。

必ずしも純正部品が高いというわけではないですが、ディーラー以外の業者は選択肢が多くある分、費用を抑えることができるケースもあります。

また、交換する部品によっては、中古パーツやリビルト品を使用することも可能です。リビルト品とは、一度分解してから清掃し、消耗品などのパーツを新品に交換したものです。

新品のように再生されていながらも、価格は安いというメリットがあるので、費用を抑えたい時には積極的に使用する部品になります。

ディーラーでもリビルト品は使用できますが、新車購入を促すためにあえて高い純正品で見積もりを出す場合もあるので注意してください。

作業内容は同じでも金額が変わる工賃レートの差

さらに、その部品を交換する工賃もディーラーはやや高めに設定されています。工賃は1時間単位の単価が設定されていて、その作業にどのくらい時間がかかるかで決まります。

作業時間については、標準作業時間という整備振興会が定めている数値を基準に計算されるのが一般的です。

作業内容はもちろん同じですが、ディーラーは1時間あたりの単価が高いため、必然的に工賃も割高になります。

実際、私が過去に整備士として働いていた整備工場では、ディーラーと比較して1,000円程度の差はありました。

1,000円と聞くと大した差ではないように思えますが、作業時間が増えれば数万円単位で差がでることもあります。

工賃については、地域や店舗によっても差があるので、事前に見積りをとり、同じ作業で比較すると分かりやすいでしょう。

ディーラー車検と民間車検の内容に違いはある?

ディーラーと民間車検は基本料などに差があるため、内容にも違いがあるのでは?と思う方も多いでしょう。実は車検というのは、基本的にどこで受けても内容自体はそれほど大きく変わりません。

なぜなら、車検とは24ヶ月点検がセットになっているのが普通であり、その点検項目は国で決められているからです。

ディーラーの方が点検項目が多いという意見もありますが、今ではどの業者も点検項目を増やし、ディーラー並みの点検を実施している業者は多くあります。

その方が安心や安全に繋がるというだけでなく、提案する箇所も増え、車検の単価アップに繋がるからです。

また、あまり知られていませんが、繁忙期になるとディーラーだけでは受注した車検を回せないこともあり、ディーラーから提携している民間業者に外注するなんてことも稀にあります。

このことからも、ディーラーが特別な整備をしているわけではないことがわかりますね。

ディーラーなら予防整備が受けられる?

ディーラーは次の車検まで安全に乗れるように予防整備が受けられるということが言われていたりします。

確かに、安さだけを重視し、車検に通れば良いというスタンスで行っている民間の車検業者もあるにはあるでしょう。

しかし、ディーラーでなくとも、しっかりした業者であれば次の車検までに消耗、又は故障してしまう恐れがあるものについては提案するのが普通です。

今の時代はその提案を受け、車のオーナーがどこまで整備をするのか判断するのが当たり前になってきています。

ディーラーだから特別手厚い整備が受けられるというわけではなく、信頼できる業者を選ぶことが大切です。

ディーラーだから安全な整備が保証されている?

ディーラーなら車検整備に保証がついていて安心なんてことも言われていたりします。

しかし、これも間違った認識で、まともな車検業者であれば自分達で行った整備に対して責任を持つのが当たり前です。

もし仮に無責任な整備を行えば、あっという間に信用を失ってしまうでしょう。

また、ディーラー以外で車検を受けると、メーカーの補償が受けられなくなるという誤解をしている方もいます。

メーカーの補償というのは、乗り方や管理方法などに問題がなければ、車検をどこで受けようと保証期間内であれば保証されるので安心して下さい。

ただし、メーカー保証も無条件で適用されるわけではありません。定期的な点検やメンテナンスを行っていることが条件となりますので、注意して下さい。

ディーラー車検のメリット

ここまで見てみると、ディーラーでの車検にはメリットがないと思うかもしれませんが、そんなことはありません。民間の整備工場はメーカーや車種を問わず、様々な車の点検、整備をしています。

それに比べてディーラーは、基本的にそこで新車販売している、又はしていた車種を点検、整備します。

その分特定の車種についての知識が深く、ディーラーだからこそできる提案というのもあるからです。例えば、数ある車の中には、その車種特有の壊れやすい箇所というものがあったりします。

そのような車種独自の故障箇所というのは、通常の点検では見逃しがちで、故障を予測して提案するにはある程度の経験が必要です。

豊富な経験を必要とすることに関しては、同じ車種の車検や修理を数えきれないほどこなしているディーラーの方が発見しやすく、適切なタイミングで提案できるメリットがあります。

また、リコールなどがあった場合も車検と同時に整備してくれるなど、二度手間になることもありません。

車には、リコールまでいかない不具合なども意外と多く、ディーラーではサービスキャンペーンなどとして交換していたりします。

サービスキャンペーンなどは新車を購入した店舗から案内が来るはずですが、車検の時に一緒にやってくれることもあり、こちらも手間にならないというメリットがあります。

ディーラー以外に車検を受けられる業者の種類

車検というのは、ディーラーなどの車検を行ってくれる業者にお願いするか、自分で車を陸運局に持ち込んで検査を受けるかの2択になります。

後者はユーザー車検と言われるものですが、費用面では確かに安く車検が受けられます。

しかし、余程車について詳しく、尚且つ自分で整備できるという方以外はおすすめしません。もしユーザー車検に興味があるなら、以下の記事を参考にすると良いでしょう。

それ以外の方は、どこかの業者に車検を依頼することになるわけですが、どんな業者があるのか御存知でしょうか?

車検業者には、大きく分けて3つの種類があります。それは、指定工場、認証工場、代行業者の3つです。

指定工場、認証工場、代行業者の違い

指定工場や認証工場は、国から認可を受け、国家資格である2級以上の整備士が従事しています。

分解整備という車の走行上重要な部分を外して整備することを認められていて、もちろんそれに必要な設備も整っています。

その中でも一定の基準を満たし、申請することによって指定を受けた工場が指定工場で、民間車検場ともいわれています。

つまり、工場の規模こそ違いますが、指定工場と認証工場には資格を持つ整備士が必ずいて、車検に必要な設備も整っているということです。

一方、代行業者というのは、基本的に車検を通すことだけを代行している場合が多いです。

車検に通るかどうかの簡単な点検をすることはできますが、分解整備はできないので、十分な整備を受けることができません。

価格は安いですが、安全性に関しては自己責任となり、他の業者に整備を別途依頼するか自分で整備することが必要になります。

認証工場のメリット、デメリット

認証工場の場合は、車検整備はできますが、検査は車を陸運局に持ち込んで受けなければなりません。もし、検査に不合格となった場合には、一度持ち帰って整備しなおすこともあります。

また、土日は陸運局が開いていないことや、繁忙期には陸運局が大変混雑するため、直近の予約がすぐに取れないこともあります。

このような理由から、車検完了までに時間がかかるケースが多いというデメリットがあります。メリットとしては、比較的車検にかかる料金が安くなることも多いという点です。

指定工場よりは設備に費用がかからない分、検査料などが安い場合も多いからです。認証工場は、比較的小規模の整備工場や中古車販売店、一部のカー用品店やガソリンスタンド等が該当します。

指定工場のメリット、デメリット

指定工場の場合は、陸運局と同等の検査ラインを保有し、車検の検査が自社でできます。

書類は後日陸運局に申請する必要がありますが、その間は保安基準適合証を車検証の代わりに発行することができるため、土日でも車検を受けられたり、短時間で車検が完了できるといったメリットがあります。

業者によっては1時間程度で車検を受けることができるので、時間の無い方にはありがたいでしょう。

デメリットとしては、指定工場の車検は陸運局の基準より厳しい場合が多いということです。指定工場には定期的に監査が入り、適正な車検業務が行われているかチェックされます。

万が一、保安基準に適合しない恐れがある車を車検に通したことが発覚すると、営業停止などの厳しい処分が下されてしまいます。

そういったリスクを避けるため、より厳しい基準で車検業務を行っている指定工場が殆どです。それに伴い、交換部品や追加整備が多くなることもあり、費用も高くなるケースがあります。

とは言え、より安全な整備が行われるということになるので、メリットと捉えることもできるでしょう。指定工場は、ディーラーや車検専門店、比較的大規模の整備工場などが該当します。

カー用品店やガソリンスタンドなどは、自社で指定工場を保有し、各店舗では受付のみ行っている場合も多いです。

車検業者の選び方

安全、安心のカーライフを送りたいならば、認証工場や指定工場に限らず、信頼できる業者に車検を依頼することが大切です。

では、どのように信頼できる業者かどうかを判断したら良いのでしょうか?

予防整備まで提案してくれる業者を選ぶ

車検というのは、極端なことを言えば、検査項目さえクリアしてしまえば、合格することができます。

しかし、それでは安心して車を乗り続けることは難しく、いつ故障するかもわかりません。場合によっては事故を招く可能性もあります。

良心的な車検業者であれば、走行距離や年式、車の状態を見た上で、事故や故障を防ぐために整備の提案をしてくれるでしょう。

とは言え、とにかく『交換した方がいい』、『危険だから』などと不安を煽るような提案を受けても信頼できるとは言えませんよね。

車が詳しくない方にも分かりやすく、その整備が何故必要なのかを説明してくれる業者であれば、良心的で信頼できる業者だと言えます。

安さや早さだけをアピールする業者には注意する

上記のような良心的な業者とは違い、安さや早さだけをアピールする業者には注意しましょう。

確かに安い、早いことはメリットですが、そればかりを追い求めた結果として、効率だけを重視した『ただ通すだけの車検』になっている可能性が高いからです。

このような車検業者は、もちろん予防整備の提案などはなく、車検後に車が故障しても、車検とは関係ないと言われて終わるでしょう。

それでもいいなら構いませんが、安心して車を乗りたいならこのような車検業者は避けるべきです。

車検を安く済ませるには?

緊急性の高い項目とそうでない項目を仕分けする

車検業者が提案する見積りの中には、緊急性の高い項目とそうでない項目があるはずです。

信頼できる車検業者を選ぶことができれば、予算を伝えるだけで、今すぐやるべき項目と後でも問題のない項目を仕分けしてくれるはずです。

まだ少し猶予がある箇所については、後日へ回すようにして車検費用をなるべく抑えましょう。予算と相談しながら担当者と進めていくのが本来あるべき車検の正しい形だと思います。

複数の見積りをとって比較する

最初にお伝えしたように、車検費用の中には業者によって金額に差がある項目があります。少なくとも2社の見積もりをとり、これらの項目を比較するだけでも車検費用を抑えることができます。

その際は、ディーラーと車検専門店、車検専門店とカー用品店などといったように業種が違うところの見積もりを比較すると分かりやすいです。

一括査定のように大量の見積もりをとるのも良いですが、労力に合わない可能性も高いです。

少しでも安い業者を探したい!というなら一括査定もおすすめですが、通常は2~3社程度で十分でしょう。

また、金額以外では、見積り時の対応や提案内容にも差があるかもしれません。安さだけを追い求めすぎずに、信頼できる業者かどうかも併せて判断しましょう。

楽天Car車検ならコース毎の料金などを見ながら比較して探すことができます。ディーラーは加盟していませんが、ディーラー以外に車検を依頼したい場合にはとても便利に活用できるはずです。

楽天Car車検についてもっと詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にして下さい。

早期割引などを利用する

車検業者も増えてきたおかげで、顧客を獲得するための競争も激しくなっています。その代表的なものが早期予約割引で、早ければ早いほどお得になるシステムになっています。

早期予約といっても車検が受けられるのは満了日の1ヶ月前からです。あくまでも仮予約に過ぎないのですが、早期予約サービスを上手く使えば車検が安く受けられます。

その他にも、車検後のオイル交換が無料になったり、ガソリンが安く入れられるといった独自のサービスも多くあります。

このような車検後のサービスも考慮して自分に合った車検業者を選んでみて下さい。

まとめ

いかかでしたか?車検は車を購入したところに任せるという方も多いですが、車検のことを理解していると、費用にも大きな差が生じます。

今はディーラーだから安心、安全という時代ではありません。良心的な車検業者も多く、殆ど変わらない内容で安く車検を受けることができる業者もたくさんあります。

車検が高いと感じたのであれば、複数の業者を比較して信頼できる本当に良い車検業者を見つけましょう。

また、車検にかかる費用によっては、車の買い替えも視野に入ってくるでしょう。もし買い換えるか迷っているという方は、下記の記事も併せてチェックしてみてくださいね!