タイヤの交換時期は、車の乗り方や車種、タイヤの保管状況などによっても変わるため、単純に走行距離では判断できません。
スリップサインが出ているなら寿命だと一目で分かりますが、そもそもスリップサインとはタイヤが危険な状態であることを示すサインです。
溝が減る前に寿命を迎えることも多く、安全に車を走行するためにも、現状を見て交換時期を判断する必要があります。
今回は、タイヤの交換時期を自分で判断できるように、チェックするべきポイントをご紹介します。
タイヤの交換時期を判断する4つのポイント
タイヤの交換時期を判断するポイントは、
- 走行距離
- 溝の残量(スリップサイン)
- ひび割れや傷などがないか
- 製造年週
の4つがあります。
これらの中でもスリップサインは車検の項目になっているので有名ですが、スリップサインがでていなくてもタイヤの寿命が近づいているかもしれません。
それぞれの判断基準を詳しく解説していきます。
交換後の走行距離を目安にする
車のタイヤは新品の状態で7~9mm程度の溝があり、一般的には約5000kmで1mm減っていくと言われています。(夏用タイヤの場合)
スリップサインは1.6mmになっているため、約6mm程度は使用できることになり、これを走行距離に換算すると約3万kmがタイヤの寿命ということになります。
もし車検時にタイヤ交換をしたのであれば、車検証や整備記録簿に走行距離が記載されているのでチェックしてみて下さい。
しかし、タイヤの減り方はメーカーや種類によっても違います。
なぜなら、タイヤはただのゴムではなく、カーボンや樹脂などの添加物を加え、各メーカー毎にグリップ力や摩耗性などを考えて作られているからです。
また、車の車種や乗り方によってもタイヤの減り方は違うため、走行距離はあくまで目安程度にしかなりません。
つまり、タイヤの交換時期を判断するには、現状を見た上で見極める必要があるということです。
タイヤの溝の残量をチェックする
タイヤの溝をチェックする際は、まずスリップサインが出ていないかを確認してみましょう。スリップサインは、タイヤのトレッド面(接地面)に数カ所あります。
タイヤの側面を見ると、△マークが印字されているので、その位置のトレッド面を見ると、溝の深い部分に少し盛り上がった部分があるはずです。
ミシュランタイヤの場合は△マークではなく、良く見るとキャラクターのビバンダム(ミシュランマン)が印字されています。
その盛り上がった部分がスリップサインで、トレッド面と同じ高さになっているなら即交換です。
スリップサインが出ていると車検にも通らず、そのまま乗っていると整備不良で違反切符を切られることもあります。
罰金や点数の問題ではなく、スリップしたり制動距離が長くなる危険な状態なので、すぐにタイヤを交換しましょう。
タイヤの偏摩耗に注意
タイヤは常に均等に減っていくとは限りません。車の乗り方や状態によって、外側や内側だけが異常摩耗を起こすこともあります。
タイヤが車に着いている状態で、外側だけ溝をチェックして問題がなくても、内側はツルツルという場合もあるので注意してください。
また、空気圧が高すぎる場合には、トレッド面の中央が異常摩耗するケースもあります。
前輪をチェックする時はハンドルを切ったり、後輪なら後ろから覗き込むようにして、必ずトレッド面全体を確認しましょう。
タイヤの溝が半分以下になったら早めの交換を
スリップサインというのは、タイヤの使用限界を示すサインです。スリップサインが出ていなくても、タイヤは溝が4mm以下になると性能が低下してしまいます。
タイヤメーカーも4mm以下になったら早めの交換を推奨しているので、安全性を考えるならこのタイミングで交換をしましょう。
正確に溝の残量を測るには専用のゲージが必要ですが、スリップサインが1.6mmに設定されているので、スリップサインまであと2mm程度になったら交換をおすすめします。
タイヤにひび割れや傷などがないかチェックする
タイヤはゴム製品なので、紫外線などによる経年劣化によってゴムが硬くなり、ひび割れを起こします。
普段から長い距離を走行しない方は、タイヤの溝があまり減らないため、まだまだ交換の必要は無いと思いがちです。
しかし、溝が減らなくてもタイヤは確実に劣化しているので注意して下さい。タイヤにひび割れがあるかどうかは、側面をみればすぐに分かります。
タイヤの側面を確認し、細かいひびが入っている程度ならまだ問題ありませんが、そのまま放置するとひび同士が繋がり、亀裂のように大きくなります。
タイヤの側面は厚みが薄く、亀裂のようなひび割れはエア漏れやバーストの危険があるため、早めに交換して下さい。
また、縁石にタイヤを引っ掛けて側面に傷があったり、盛り上がったりしている箇所が
ある場合もバーストの危険があるため、早めの交換をおすすめします。
タイヤの製造年週をチェックする
タイヤの側面には、そのタイヤがいつ作られたものであるか分かるように印字がされています。タイヤ側面に枠で囲まれた英数字があり、その下4桁がタイヤが作られた製造年週です。
例えば、『1215』となっていた場合、そのタイヤは2015年の12週(3月頃)に製造されたタイヤということになります。
今は殆どないと思いますが、1999年より前に製造されたタイヤは3桁で表記され、下1桁が製造年です。この製造年週は、タイヤの側面どちらか一方にしか記載されていません。
側面をみても見当たらない場合は、裏側に記載されているはずです。目安として、タイヤは4年程度でゴムが硬くなり、本来の性能が発揮できなくなります。
製造年週を確認し、製造から4年以上経過しているようなら交換時期です。
このように、タイヤの交換時期を判断するポイントはいくつもあります。どれか1つだけで判断するのではなく、溝やひび割れなどの有無、製造年週を確認し、総合的に交換時期を判断しましょう。
スタッドレスも交換時期を判断するポイントは同じ?
スタッドレスタイヤも基本的には夏用タイヤと交換時期を判断するポイントは同じです。
しかし、溝の残量はスリップサインではなく、プラットホームで判断します。
スタッドレスタイヤにもスリップサインはありますが、さらにもう少し早い段階で表れる盛り上がりがプラットホームです。
プラットホームは新品の状態から半分程度の深さに設定されています。スリップなどの危険を回避するためにも、使用前には必ずプラットホームをチェックしましょう。
位置が分からなければ、タイヤの側面にある矢印を探し、その部分のトレッド部を確認してください。
プラットホームと接地面が同じ高さになると、スタッドレスタイヤとしては使用できません。夏用タイヤと同じ感覚でいると、まだ溝が残っているので問題ないと判断してしまいがちです。
スタッドレスタイヤは冬の時期しか装着しませんが、夏用タイヤよりも柔らかく、溝が減るのも早いので注意しましょう。
また、スタッドレスタイヤへの交換は、自分でやるという方も多いと思いますが、
正しいやり方を知らなければ事故などの原因にもなりかねません。
自分でタイヤ交換をするという方は、下記の記事も参考にしてみて下さい。
タイヤの減り方はなぜ車によって違うのか
タイヤはメーカーやグレードなどによって減り方が違うことはお伝えしましたが、車によっても減り方に違いがあります。その理由は、車の重さや駆動輪の違い、運転の仕方などが影響するからです。
重い車はそれだけタイヤに負荷がかかり、減りが早くなります。駆動輪の違いも同様にタイヤにかかる負荷が違うため、前後の減り方に差が生まれるのです。
また、車高の高いワゴンタイプなどの車は、カーブを曲がる時にロールしやすく、タイヤの外側が減りやすくなります。
同じ理由から、あまり減速せずに曲がる方もタイヤの外側が減りやすいです。
運転の仕方による減り方の違いは仕方がありませんが、車種によるタイヤの偏摩耗は適切なタイヤを選ぶことで防止できます。
タイヤメーカーは、車に合わせたタイヤを開発して偏摩耗を防止しているからです。タイヤを交換する際には、安さだけでなく、自分の車に合ったタイヤを選ぶことが重要です。
タイヤが偏摩耗するその他の理由
車によっては、タイヤの内側や外側だけが異常に減ってしまうという場合があります。これは、ホイールアライメントが狂ってしまっている可能性が高いです。
ホイールアライメントとは、簡単に言えばホイールの向きや角度のこと。真っ直ぐ付いているように見えますが、直進安定性や旋回性能を高めるために若干角度をつけているのです。
ホイールアライメントが狂うと、極端に言えばタイヤを引きずりながら走っているようなケースもあり、偏摩耗の原因になります。
ホイールアライメントは、車を乗っていれば何もしなくても少しずつ狂います。
また、ホイールをぶつけたり、車高を下げたりといったことも狂う原因の1つです。
タイヤの偏摩耗が気になる方は、一度ホイールアライメントの調整をしてみると良いかもしれません。費用は車種や店舗によって違いがあり、1~2万円程度が相場です。
車のカスタムショップや、カー用品店などでできるので、是非やってみて下さい。
タイヤの寿命を延ばす秘訣
タイヤは車に使われる消耗品の中でも高価な部品です。
少しでもタイヤを長持ちさせるために、寿命を延ばす秘訣をご紹介します。
定期的にローテーションする
タイヤは一般的に駆動輪の方が早く寿命を迎えるため、そのままだと前後どちらかのタイヤが早く消耗してしまいます。
タイヤの減り方をなるべく均一にするためにも定期的なローテーションは必要です。
一般的には、5,000~10,000km程度でのローテーションが推奨されているので、少なくとも1年に1回ローテーションをすると、タイヤの寿命を延ばすことができます。
費用も2,000程度と安いので、点検やオイル交換などのついでに頼みましょう。自分でやるという場合は、タイヤの向きが決まっている場合もあるので注意して下さい。
また、前後でサイズが違うタイヤを履いている車種もありますが、その場合はローテーションできません。ローテーションのやり方や、適切な時期などについては以下の記事を参考にして下さい。
定期的に空気圧をチェックする
空気圧はタイヤの寿命を延ばす重要な要素の1つです。空気圧は高すぎても低すぎても偏摩耗の原因になるので、1ヶ月に1度くらいはチェックして適正値を維持しましょう。
最近はセルフのガソリンスタンドが増えているので、やり方が分からなければ聞き、いつでもできるようになることをおすすめします。
タイヤに優しい乗り方をする
タイヤの寿命を延ばしたいのであれば、急発進や急ブレーキといったタイヤに
負担をかける乗り方をできるだけしないようにしましょう。
このような乗り方はタイヤの摩耗を早め、交換時期も早めてしまうことになります。
また、コーナリング時にはしっかり減速し、ロールを極力抑えることで、外側の異常摩耗を防ぐことにも繋がります。
直射日光を避けて保管する
タイヤは紫外線などの影響を受けて劣化してしまいます。
既に装着しているタイヤは駐車場などの関係もあるので仕方がありませんが、シーズンオフのスタッドレスタイヤの保管は気を付けて下さい。
また、しばらく使用しないタイヤを保管する際には、空気を半分程度まで抜いて保管するのがおすすめです。
空気を抜くことで、タイヤにかかる負担を減らして寿命を延ばすことができます。
過剰な洗浄は避ける
タイヤを洗浄する際には、洗剤などを使用せず、なるべく水洗いがおすすめです。洗剤などが原因となり、タイヤの劣化を早めてしまうこともあるからです。
洗剤を使用するのはかなり汚れている時に留め、基本的には水洗いしましょう。
また、洗車の際にタイヤワックスを使う方も多いと思いますが、油性のタイヤワックスはタイヤの劣化を早め、ひび割れなどの原因になるとも言われています。
個人的にはそこまで気にする必要はないと思いますが、気になる方は水性のタイヤワックスを選びましょう。
まとめ
いかがでしたか?タイヤの交換時期は溝の残量だけでなく、ひび割れや傷が無いかもチェックしたり、製造年週を確認しながら総合的に判断することが重要です。
タイヤは車を安全に走らせるための大切な部品です。交換時期を過ぎたタイヤを使用し続けることは事故に繋がることもあります。
車を安心して乗るためにも、定期的な点検を行い、交換時期が近づいたタイヤはなるべく早めに交換しましょう。
また、タイヤはパンクなどの突発的なトラブルが起こることもあります。最近はスペアタイヤが装備されていない車も多いため、いざという時の対処法を一度確認しておくことも大切です。
タイヤのパンクについてはこちらにも詳しくまとめてあるので参考にしてください。