タイヤローテーションの費用と時期の目安|自分でやる方法は?

車のメンテナンス
yasu

自動車整備士として車業界に15年以上携わり、修理の知識はもちろん車の売買からコーティングまで幅広い知識をいかして記事を執筆。国家資格の自動車整備士免許だけでなく、中古車査定士などの資格も取得しています。

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タイヤは定期的にローテーション(位置交換)した方が無駄なく使うことができます。

特に最近は前輪駆動(FF車)が多いので、そのままだと前輪のタイヤが早く減ったり、偏摩耗することが多くなってしまうからです。

ここでは、タイヤローテーションのやり方や行う時期の目安、お店に依頼した場合にかかる費用などを解説します。

また、自分でローテーションを行うやり方と注意点についても解説しますので、興味のある方は参考にして下さい。

タイヤローテーションにかかる費用

タイヤのローテーションにかかる費用は、2000円~4000円程度が目安になります。

ローテーションはディーラーや整備工場、カー用品店やガソリンスタンドなど、車に関する作業を行っている場所なら殆どの場所でやってくれるでしょう。

車(タイヤ)のサイズによって料金が変わる店舗が多く、軽自動車や16インチ程度なら1本500円、1BOXやSUV、16インチ以上のタイヤは1本800円程度です。

また、お店によっては、フロントに持ってくるタイヤのホイールバランス調整を行う場合もあります。

やるかどうかは任意で別料金となる場合や、最初からローテーションの費用に含まれている場合もあるので、料金が高いなと感じたら確認した方が良いかもしれません。

ホイールバランス調整は基本的に必要ない

ホイールバランスは、基本的にタイヤ交換時に4輪とも行っているはずなので、必ずしも必要ではありません。

ただし、中には後輪のホイールバランスを省略している場合や、タイヤの偏摩耗によってバランスが狂っている場合もあります。

ローテーション後、一定の速度帯でハンドルのブレや振動を感じたりする場合は、ホイールバランスの調整を行いましょう。

そのままにしておくと、タイヤの偏摩耗やベアリングなどの部品に余計な負荷がかかり、故障に繋がることもあります。

ホイールバランス調整にかかる費用は1000円程度なので、違和感を感じたら早めに行い、余計な出費を増やさないようにしましょう。

タイヤローテーションを行う時期と頻度

タイヤのローテーションは、一般的に5000kmの頻度で行うことが推奨されています。FR車(後輪駆動)の場合は、比較的減り方の差が小さいため、10,000km毎が目安です。

定期的なローテーションを行うことにより、タイヤの偏摩耗防止や疲労度を均一化し、交換時期も合わせることができます。

タイヤが偏摩耗すると、本来ならまだ使用できるタイヤであっても、交換しなければならないケースがでてきます。

タイヤの寿命を延ばすことに繋がるため、経済的な面からみてメリットになるはずです。

また、タイヤの疲労度を均一化することは、車のバランスを維持するために重要で、安全性の面からみてもおすすめです。

FF車はローテーションの重要度が高い

特にFF車(前輪駆動)の場合、エンジンの重さによる負荷やハンドル操作時の負荷、コーナリング時の負荷など、前輪に多くの負荷が集中するため、タイヤの消耗が激しくなります。

一方後輪には負荷が殆どかからないため、タイヤの消耗はかなり緩やかです。ローテーションをしないまま乗り続けると、フロントタイヤだけを先に交換することになってしまいます。

タイヤは基本的に4輪とも同じメーカーで、同じ性能のタイヤを履くほうが安全です。前後左右でタイヤの性能が違うと、ブレーキングやコーナリング時に車が不安定になりやすいからです。

つまり、安全面から考えると、フロントタイヤだけを交換する場合、同じタイヤを2本購入するか、4本全て交換することになります。

街乗り程度では前後のタイヤに多少の性能差があったところで殆ど問題は無いですが、やはりタイヤは4本同時に交換したほうが色々と都合が良かったりします。

タイヤの選択肢が限られてしまうことにもなるため、ローテーションを定期的に行い、タイヤの交換時期を合わせることをおすすめします。

費用を抑えた現実的なローテーション頻度

タイヤのローテーションは5000~10000km毎に行うのが理想ですが、実際はこのペースでローテーションを行う人は少ないでしょう。

タイヤは約30000kmで寿命を迎えると言われていますが、5000km毎にローテーションを行うとなれば、5回もローテーションを行うことになります。

ローテーションの費用が安いからと言っても、5回も行えばそれなりに費用もかかるため、ローテーションなんてしない方が経済的だと考える方も多いでしょう。

とはいえ、FF車の場合はフロントタイヤがリアタイヤに比べて2倍くらいのスピードで消耗していくので、ローテーションを全くしないというのも少しもったいないです。

フロントタイヤだけ交換するというのも良いとは思いますが、タイヤはゴム製品なので、溝が減らなくても古くなれば確実に性能は劣化しているというのも忘れてはいけません。

特に普段車をあまり乗らない人は、タイヤの減りが遅いため、前後どちらかのタイヤは殆ど減らないうちに交換時期を迎えてしまうこともあるはずです。

最低でも1回はローテーションを

タイヤを無駄なく使用するためには、最低でも1回はローテーションを行うべきです。具体的には、フロントタイヤの溝が半分以下になったらローテーションをおすすめします。

このくらいの時期にローテーションをすれば、4本とも同じ頃に交換時期を迎えるはずです。

ただし、フロントタイヤの外側や内側だけが異常に減るという場合は、一番減っている箇所を基準に早めにローテーションをしましょう。

アライメントが狂っている可能性もあるので、できればアライメント調整も一度行った方が良いかもしれません。

車検や点検時の『ついで』なら費用もかからない

車検や12ヶ月点検の際には、タイヤを脱着することになるため、このタイミングでローテーションを行うと、基本的に費用はかからないはずです。

外したタイヤをどこに付けるかというだけなので、こちらから言わなくてもローテーションをしてくれることもあります。

タイヤ交換した時期にもよると思いますが、定期点検時にローテーションをするというのもおすすめです。

タイヤのローテーションを自分で行う方法

タイヤのローテーションを自分で行えば、費用を気にする必要もなく、理想の頻度で自由にタイヤを入れ替えることも可能です。

油圧式のガレージジャッキや、リジットラック(馬)を持っていれば、タイヤを4輪同時に外すことができるため、ローテーションは簡単にできるでしょう。

これらの工具を持っていない場合でも、多少手間はかかりますが、できないわけではありません。ここでは、最低限の車載工具を利用したローテーションのやり方をご紹介します。

タイヤローテーションの基本

タイヤのローテーションは、前輪と後輪の位置を入れ替えるだけです。この時、タイヤに方向性の指定が無ければ、駆動輪に履かせるタイヤの左右も入れ替えます。

方向性指定があるタイヤは、タイヤの側面に『矢印』『ROTATION』の表記がされているはずです。

ローテーションの例

  • FF車:右後輪→左前輪、左後輪→右前輪
  • FR車:右前輪→左後輪、左前輪→右後輪
  • 方向性指定有り:前後の入替のみ

4WD車の場合は、FR車と同じ方法で問題ありません。方向性指定があるタイヤを左右入れ替えると、グリップ性能や排水性が低下するので注意して下さい。

また、スポーツタイプの車などは、前後でタイヤサイズが異なる場合があります。その場合はローテーションできません。

タイヤのローテーションに必要な工具

自分でタイヤのローテーションを行うために最低限必要な工具は以下の通りです。

  • 車載工具(レンチ、ジャッキ等)
  • スペアタイヤ(ホイール付のタイヤ)

最近の車は車載工具やスペアタイヤが装備されていない車も多いので、事前にあるかどうか確認してください。

もし、何も装備されていない場合でも、十字レンチとジャッキくらいはあるとタイヤのパンク時やスタッドレスタイヤの入替時などにも使えるので便利です。

カー用品店やネットでも購入できるので、必要なら購入を検討しましょう。ジャッキは安いパンタグラフジャッキなら2000円程度、小さいガレージジャッキでも10000円以下で購入できるはずです。

また、ホイールナットは締めつけトルクが決まっていて、弱すぎれば外れますし、強すぎれば破損します。

プロでも感覚に頼らず、基本的にトルクレンチを使用するので、できるだけトルクレンチも用意しましょう。

ローテーションの方法

タイヤのローテーションを自分で行う手順は以下の通りです。

  1. 外すタイヤを1本決め、ナットを少し緩める
  2. タイヤが少し浮くくらいまでジャッキアップする
  3. スペアタイヤと交換し、ナットを仮締めする
  4. ジャッキを下ろしてナットを本締めする
  5. 外したタイヤと移動先のタイヤを同じ手順で交換する
  6. 5を繰り返してタイヤをローテーションする

※ジャッキアップポイントは、取扱説明書を読んで事前に確認してください。

自分でローテーションする場合の注意点

自分でタイヤのローテーションを行う場合、以下の点に注意しましょう。

  • ジャッキアップは水平で舗装された場所で行う
  • パンタグラフジャッキを使用する場合は必ず1輪ずつ行う
  • ホイールナットは数回に分けて対角線上に少しずつ締めつける
  • ローテーション後、50~100km走行したら増し締めする

車載工具のパンタグラフジャッキは、タイヤを少し浮かせる程度の応急的なもので、横方向の力がかかれば簡単に外れます。

参考:車載ジャッキを使用する際の安全性(国民生活センター)

ネットの情報などを見ていると、2つのパンタグラフジャッキを使用してローテーションする方法なども紹介されていますが、危険なので絶対にやめて下さい。

また、ジャッキアップはできるだけ水平なコンクリートの上がおすすめです。アスファルトは柔らかく、凸凹しているのでできれば避けた方が良いでしょう。

タイヤ交換の正しいやり方や注意点については下記の記事でも詳しくまとめてあるので参考にして下さい。

まとめ

タイヤのローテーションは、タイヤを長持ちさせるためにも定期的に行いましょう。5000km毎にローテーションするのが理想ではありますが、タイヤの減り方は車種や乗り方によっても変わります。

偏摩耗の兆候があれば早めにローテーションを行う必要はありますが、そうでなければタイヤの減り方を見ながら臨機応変に行いましょう。

FF車の場合は特に前輪の減りが早いので、最低でも1回はローテーションを行うと、タイヤを無駄なく使えるはずです。ローテーションの費用は比較的安いので、1回程度なら負担も少なくおすすめですよ。

また、タイヤは車が安全に走行するためにかかせない重要な部品の1つです。

タイヤのサイズによってはかなり高額になることもありますが、交換時期を過ぎたタイヤを履き続けることは事故に繋がります。

高くて良いタイヤを履く必要はないので、交換時期がきたら早めに交換し、安全なカーライフを楽しみましょう。

タイヤ交換の費用を安く抑える方法を知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。