ディーラーの下取りは安いと良く言われますが、これは紛れもない事実です。ですから、単純に車を高く売りたいと考えるなら買取店を選ぶべきでしょう。
しかし、買取店と比較した場合、ディーラーの下取りを利用するメリットがないわけではありません。ここでは、ディーラーの下取りが安い理由やそれでも利用するメリットを解説します。
この記事を読み終わる頃には、ディーラーと買取店との違いを理解し、自分に合った方を選べるようになるはずです。
ディーラーの下取りが安い理由
ディーラーの下取りは買取店と比較すれば確かに安い傾向にあり、車種や車の状態によっては10万、20万の差がつくこともあります。
ディーラーの下取りが安い理由は、
- 実際の相場を踏まえた価格ではないこと
- 下取りがサービスの1つであること
- 競合が少ないこと
といった3つが主な要因です。
この3つの理由についてもう少し詳しく解説していきたいと思います。
下取りは実際の相場を踏まえた価格ではない
ディーラーの下取りが安い理由の1つは、相場の価格が反映されていないことにあります。
ディーラーの下取りは、日本自動車査定協会(JAAI)の基準を元に車の状態をチェックして価格が決まります。
JAAIの基準は多くの業者が採用しているので、この基準を元に査定をすることは客観的に見ても公正な査定と言えます。
しかし、この基準を元にした査定結果が必ずしも相場価格になるわけではありません。
なぜなら、中古車市場の買取相場は業者用のオークションによってできていて、ある程度の需要があれば競りによって相場は自然と高くなるからです。
一方、買取店の場合、査定自体は同じ基準を元に行いますが、車の転売によって利益を得ている関係上、最終的な買取価格は実際の中古車市場で取引される相場を重要視します。
この違いは大きく、実際の相場が高ければ高いほど買取価格の幅も広がるということです。特に人気がある車種の場合、その差は顕著に表れるでしょう。
また、買取店は車を少しでも高く売るために、あらゆるオークション相場や海外市場の相場まで熟知し、その時一番高く売れる方法を知っています。
つまり、ディーラーの下取りは車だけを査定して価格を決めるのに対し、買取店は相場をみて柔軟に価格を設定できるため、買取店のほうがより高く買取できる可能性が高いというわけです。
下取りはサービスの1つ
ディーラーの下取りが安い理由の2つ目は、下取り自体がサービスの1つであるということです。ディーラーの主な業務は新車の販売であり、下取りした車を転売して利益を得ることではありません。
結果的に下取りした車から利益が生まれているという事実もあるでしょうが、極端なことを言えば、新車が売れるなら下取りなんてしなくても良いのです。
今では下取りには値引きの側面もあり、新車を売るために必要なサービスになってきています。とはいえ、買取店のように下取りにも相場価格を反映し、わざわざ高く下取りする必要はありません。
なぜなら、そんなことをしなくても実際に多くの方が今でも下取りを利用していますし、仮に下取りが安かったとしても、他に売るだけで新車が売れない理由にはならないからです。
相場を買取価格に反映するということは、相場を読み間違えたり、すぐに売却できなけば損をするリスクも伴います。
仮にリスクをとってまで下取りを積極的に行ったとしても、新車販売が爆発的に増えるということもないでしょう。
つまり、ディーラーの下取りはサービスの1つで、わざわざ損をするリスクを冒してまで車を高く下取りする必要がないことが安い理由の1つになっているということです。
下取りには競合が少ない
ディーラーの下取りが安い理由の3つ目は、競合が少ないことです。買取店は無数にあり、比較も簡単にできるので、自然と競争が生まれて買取価格も高くなります。
しかし、ディーラーの下取りを利用する場合、新車を購入するのが条件となっているため、その店舗と直接交渉するしかありません。
他店と競合させようと思えばできなくもないですが、新車ディーラーは販売チャネル毎に扱う車種が決まっていることも多く、近くの店舗だと取扱い車種が違う場合も多いです。
仮に少し離れた店舗まで足を伸ばしたとしても、エリア内の同じ販売チャネルなら店舗が変わっても会社は基本的に同じで、比較しても大きな差は生まれないでしょう。
競合の可能性があるとすれば他メーカーですが、欲しい車種が決まっている場合は難しいですし、車種が変われば値引きも変わってくるため、純粋な比較は難しいです。
また、買取店と比較した場合もディーラーにはわざわざ高く下取りする理由がないため、無理をしてまで競い合うことはまずありません。
このように、ディーラーの下取りは競合相手が基本的に存在しないということが下取り価格の安さに繋がっています。
ディーラーの下取りを利用するメリット
ディーラーの下取りが安いのには理由があり、車を高く売りたいなら買取店を選ぶほうが賢明です。
しかし、それでも多くの方がディーラーの下取りを利用するのはなぜでしょうか?それは、乗り換えが手間なくスムーズにできるという下取り最大のメリットがあるからです。
ディーラーの下取りを利用する場合、新車の納車日までは今の車を乗り続けることができます。乗り換えに必要な全ての手続きが1つのお店でできるというのも便利ですし、安心感にも繋がるでしょう。
また、買取では年式の古い車や走行距離の多い車などは再販価値の無いと判断され、査定額が0円になってしまうことも多いです。
しかし、ディーラーの下取りには値引きという側面もあるため、交渉の余地はまだあります。
買取で値段がつかないような場合でも下取りなら値段がつくという場合もあるので、必ずしも買取が高いとは言えない部分もあるでしょう。
ただし、値引き額で調整して下取り価格を高く見せるというテクニックも良く使われるので、その点には注意して下さい。
買取で値段がつかないような場合は、廃車や解体業者に売るという方法もあるので、一度検討してみると良いかもしれません。
ディーラーの下取りを利用するデメリット
ディーラーの下取りを利用するデメリットは安いという他にもいくつかあります。特に車の売却額が自由に使えないことや、交渉が複雑になることがデメリットと言えるでしょう。
下取り価格は全て購入する車から値引きする形になるため、自由に使うことはできません。買取の場合は売却したお金を手元に残すこともできますし、車以外のことに利用するのも自由です。
社外のナビやアルミ、エアロパーツなど、色々とカスタムしたい方は自由に使えるお金が残ると選択肢の幅が広がるでしょう。
また、買取の場合は新車の値引きと買取額が別になるので、売る車の価値がいくらで値引きがいくらになるのかハッキリわかります。
しかし、下取りの場合は値引きと同枠なので、どちらかを頑張って交渉しても結局は上手く調整されてしまうケースが多いです。
ですから、下取りと値引きが別々になるような交渉の段取りが必要となり、下取りが無い場合と比べて値引き交渉の難易度は上がります。
このように、下取りを利用する場合はメリットだけでなくデメリットもあることを理解し、どちらを選ぶべきか検討しましょう。
自分はどっちのほうがいいのかな?と迷ってしまった方は、これから紹介する目安を参考に決めてみて下さい。
ディーラーの下取りが向いている人、向いていない人
ディーラーの下取りにはメリットもあればデメリットあるので、どちらが良いかは人によっても違います。
相対的に見て判断する必要はありますが、
- 何社も査定を受けるのが面倒な人
- 買取査定で値段がつかなかった人
- 余計な心配をせず車を乗り換えたい人
にはディーラーの下取りが向いています。
車を買取店で高く売るためには、どうしても複数社の比較と交渉が必要になります。それらに時間や手間をかけられるかどうかというのが大きな判断材料になるでしょう。
また、ある程度時間はかかりますが、手間を最小限にして高く売る方法もあります。お急ぎでないのであれば、下記の記事で紹介している方法もおすすめです。
反対に、
- 車をできるだけ高く売って得したい人
- 人気の車種や状態の良い車に乗っている人
- 値引き額と買取額をハッキリさせたい人
にとってはディーラーの下取りよりも買取が向いています。
複数社の買取店を比較するなら、一度に複数の買取店に査定の依頼ができる一括査定がおすすめです。近くの買取店を探す必要もなく、時間や手間が大幅に削減できるでしょう。
おすすめの一括査定サイトについては下記の記事でも紹介しているので参考にして下さい。
まとめ
- 相場を反映した価格ではない
- サービスの1つで無理して高くする必要がない
- 競合相手が少ない
といった3つが主な要因です。
車を高く売りたいなら買取店での売却がおすすめですが、複数社の比較が必要不可欠なので手間と時間はかかります。
ディーラーの下取りにもメリットはあるため、相対的に判断して自分に合った方を選びましょう。
また、どちらの方法を選ぶにせよ、自分の車がどのくらいの価値があるのかを事前に知っておくことは重要です。
下記の記事では下取りや買取の相場を簡単に調べる方法を紹介しているので、車の売却や乗り換えを検討している方は参考にして下さい。