車検を自分で?ユーザー車検のやり方・手続き・手順を解説!

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yasu

自動車整備士として車業界に15年以上携わり、修理の知識はもちろん車の売買からコーティングまで幅広い知識をいかして記事を執筆。国家資格の自動車整備士免許だけでなく、中古車査定士などの資格も取得しています。

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車検はディーラーや整備工場などに依頼するのが一般的な方法ですが、自分で車を持ち込んで検査を受けることもできます。

これはユーザー車検と言われる方法ですが、車検にかかる費用を最低ラインに抑えることができるという大きなメリットがあります。

とは言え、初めて自分で車検を受けに行く場合わからないことだらけで不安も多いでしょう。本記事では、ユーザー車検の方法と流れを簡単にご紹介したいと思います。

また、ユーザー車検のメリットやデメリットについてもまとめてあるので、まだ迷っている方も参考にして下さい。

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ユーザー車検を受けられる場所

ユーザー車検を受けるためには、必要書類の準備や事前に車検に通るかなどの点検を行い、自動車検査登録事務所(陸運局などとも言う)に直接車を持ち込んで検査を受けます。

軽自動車の場合は軽自動車検査協会で車検を受けることになりますが、乗用車と場所が違うので注意して下さい。

また、陸運局はエリアごとに分かれています。既に乗っている車の車検(継続検査)を受ける場合には、どこの陸運局でも問題ありません。

しかし、一時抹消した車などを再登録する際に受ける新規車検は、管轄の陸運局で受ける必要があります。

ユーザー車検を利用するメリット

ユーザー車検を受けるメリットは、主に次のようなことが考えられます。

  • 車検費用を安く抑えることができる
  • 車検とはどういうものか知ることができる
  • 検査項目や基準についてある程度知ることができる

ユーザー車検を受けることで得られる最大のメリットは、費用を安く抑えることができることでしょう。

整備料金や代行手数料などが一切かからず、諸費用(重量税、自賠責、印紙代など)のみで車検を通すことができます。

また、実際に自分で車検のラインを通すことでどのような検査が行われているかも知ることができます。

良くも悪くも検査項目や基準を身を持って知ることができるので、今後の車検でもその経験を活かすことができるかもしれません。

ユーザー車検を利用するデメリット

一方、ユーザー車検には次のようなデメリットもあります。

  • 点検、整備は別で行う必要がある
  • 手間や労力、時間がかかる
  • 平日しか受けることができない
  • 再検査となるリスクがある

車検は単なる検査なので、悪いところや寿命が近づいているパーツなどがあっても、基本的に教えてくれたりはしません。

つまり、自分自身で点検し、適切な整備ができる知識と技術が必要になります。もちろん、車検だけ自分で受けに行き、点検や整備はお店に依頼することも可能です。

しかし、その場合は当然料金もかかるため、最大のメリットである費用の節約ができず、時間と労力に見合わないと感じることもあるでしょう。

また、陸運局は平日しかやっていないため、人によっては車検のために休みをとらなくてはいけません。万が一検査に引っかかり、その日の内に合格できなければ、後日再検査を受けることになります。

再検査は2週間以内に合格できなければ、初めからやり直しになってしまうので、そういったリスクがあることも知っておきましょう。

ユーザー車検に行く前の事前準備

初めてユーザー車検に行く場合は、分からないことが多すぎて不安になると思います。デメリットでも挙げましたが、車検を受けられる時間も決まっていて、再検査になれば非常に面倒です。

そうならないためにも、事前にしっかり準備し、余計な時間はなるべくかけないようにすることが大切です。必要書類や車の状態のチェックなど、事前に確認しておくべきポイントをまとめました。

ユーザー車検に必要な書類の確認

まず、ユーザー車検に必要な書類の確認をしておきましょう。

  • 自動車検査証(車検証)
  • 自動車損害賠償責任保険証明書(新旧の両方)
  • 使用者の印鑑(シャチハタ不可)
  • 自動車税納税証明書(継続検査用)
  • 継続検査申請書
  • 自動車検査票
  • 自動車重量税納付書
  • 点検整備記録簿(後整備の場合は不要)

こう見ると結構多いですが、継続検査申請書から下の書類については陸運局の窓口で配布、購入できます。自賠責は陸運局近くの代書屋などの代理店で手続きが出来ます。

車検が切れている場合や、自賠責を紛失した場合は、25カ月で手続きする必要があり、費用が余計に掛かるので注意して下さい。

自動車税の納税証明書については、平成27年4月より滞納していなければ省略できるようになりました。

ただし、確認できるようになるまで2~3週間程度かかるので、直前に支払った場合は提出が必要です。

また、軽自動車の場合は、省略ができません。無い場合は市区町村で再発行してもらう必要があるので、特に他県ナンバーの方は注意して下さい。

遠方の場合は郵送でも依頼できますが、その分時間がかかります。

予約をする

ユーザー車検を受けるためには、事前に予約が必要になります。乗用車の場合はインターネットのみ、軽自動車の場合は電話でも予約ができます。

自動車検査インターネット予約システム

軽自動車検査予約システム

混雑時は直近の予約が取れないことも多く、希望する日時が空いていない場合が多いです。日程が決まり次第早めに予約しておきましょう。

2月、3月は車検を受ける車がかなり多いので、直近の予約はまず取れないと思ってください。

また、午後に予約した場合、再検査になるとその日に終わらないことも考えられます。特に初めてユーザー車検を受けるという方は、午前中の予約がおすすめです。

車が車検に通るかの確認

陸運局が空いている時は良いですが、混雑していると再検査にも時間がかかります。

実際にユーザー車検を受けなければ分かりにくい項目もありますが、灯火類などの簡単な箇所で引っかかってしまうのは時間の無駄です。

車の点検や整備の知識が乏しい場合でも、灯火類のチェックや室内のチェックくらいは最低限しておきましょう。

できれば、車をリフトアップし、下廻りもチェックしておいた方が無難です。車検の検査項目や引っかかりやすい箇所についてはこちらにまとめてあるのでチェックしておいてください。

ユーザー車検のやり方と流れ

車検を受けられる時間は決まっているので、当日にバタバタして時間がかかってしまうと、間に合わなくなってしまう場合もあります。

予めユーザー車検の方法や流れを確認しておくとスムーズに車検を受けることができるはずです。ちなみに、軽自動車のユーザー車検も基本的に乗用車の場合とやり方は同じです。

検査機器や検査の順序が若干違うくらいで、乗用車の流れを知っていれば特に問題はないでしょう。

予備検査を受ける

ユーザー車検をぶっつけ本番で受けることも可能ですが、再検査になればまた並びなおす必要があります。特にヘッドライトの光軸は、そのままだと高確率で引っかかります。

時間を無駄にしないためにも、予備検査を受けることをおすすめします。この場合の予備検査とは、陸運局の近くにある民間業者を利用することであり、新規車検に用いられる予備検査ではありません。

『テスター屋』とも呼ばれる民間の整備工場が陸運局の近くにはあり、車検の検査項目の測定や調整を依頼できます。

費用は項目毎に分かれていて、光軸調整だけなら1000~2000円程度でできるはずです。もちろん不安であれば、その他の項目も測定することは可能です。

地域によっては近くにない場合や、一般の方は利用できないこともあるかもしれません。ユーザー車検を利用する場合は事前に調べておきましょう。

書類の購入や作成

陸運局に着いたら、窓口で必要な書類を購入して記入しましょう。書き方の見本もあり、基本的には車検証などの情報を書き写す程度の簡単な作業です。

作成が面倒であれば、近くにある代書屋でも書類を作成してくれます。慣れていないと時間がかかるので、時間が無い時にはおすすめです。

また、印紙を購入したり、いくつかの窓口を周ることになりますが、順序は乗用車と軽で若干違います。案内板があるので、その順序に沿って周れば手続きは完了するはずです。

もしわからなくても、総合窓口で聞けば1から教えてくれるので安心して下さい。

検査ラインで検査を受ける

書類を作成し、受付まで完了したら、車に乗って検査ラインまで行きます。

検査ラインには自動コースと手動コースがあります。初めての方は、絶対に自動コースを選択してください。おそらく受付時にもレーンを指定されるはずです。

自動コースは電光掲示板や音声案内付で、その案内に従っていけばそれほど難しくはないと思います。手動コースは、音声案内などはないので、慣れている業者向けのコースです。

『空いているからこっちにしよう!』なんて軽はずみな気持ちで入ると、他の方に迷惑がかかる恐れもあるので注意して下さい。

少し不安になってしまったかもしれませんが、検査員に初めてだということを伝えれば、丁寧に教えてくれるので安心して下さい。

見学コースなどもあり、事前に検査ラインの様子を見ることも可能ですよ。検査ラインについては文章では分かりにくいと思うので、分かりやすい動画を下記に載せておきます。

初めての方は事前に確認しておくと、全体のイメージが掴めると思いますよ。

動画:ユーザー車検のやり方・車検コースの流れ

 

検査に合格したら再び受付窓口へ

無事車検に合格したら、書類を窓口へ提出します。暫くすると名前を呼ばれるので、新しい車検証とステッカーを受け取り、車検証の住所や名前に間違いがないか確認しましょう。

また、当日検査に合格できなかった場合、希望すれば限定自動車検査証を発行してもらうことができます。

限定自動車検査証があれば、後日でも手数料を払えば該当箇所だけ再検査を受けることができます。限定自動車検査証を持参して指定工場で整備すれば、限定保安基準適合証を発行してもらうことも可能です。

その場合、限定自動車検査証と限定保安基準適合証を提出すれば、車両を持ち込まなくても車検証を発行できます。

ただし、限定自動車検査証は最大15日という有効期限があり、場合によっては車検期間が短くなる場合もあるので注意が必要です。

ユーザー車検でも整備はしっかりしよう!

車検は通れば良いというものでもありません。費用を節約するためにユーザー車検を選択する方も多いですが、点検整備は別でしっかり行いましょう。

車を安心して乗り続けるためには、定期的に点検を行い、適切なタイミングで必要な整備を行うことが大切です。

費用の安さだけを追い求め、それを疎かにしてしまえば、最悪の場合は事故を招くこともあります。今は多くの車検業者があり、点検を含めた費用を安くすることも十分可能です。

実際、ユーザー車検後に点検整備を別で業者に依頼した場合、費用があまり変わらないということも多いです。

ユーザー車検を経験することは良いことですが、費用と労力を照らし合わせて、どちらを選択するべきかどうか、もう一度良く考えてみてくださいね。