中古車を購入する際の価格は、車両本体価格に諸費用が上乗せされて総額が決まります。
他のお店より安いように見えても、諸費用が思った以上に高く、総額はあまり変わらなかったという経験をした方も多いのではないでしょうか?
これは中古車販売の業界では良くあることで、お店側がどこで利益を得ているのかによって諸費用は変わってきます。
ですから、中古車の諸費用は高いからボッタクリ!と一概にも言えないのが難しいところです。
本記事では、中古車の諸費用の内訳や、チェックしておきたいポイント、諸費用を安くするポイントなどをまとめました。諸費用が高い!と感じた方は是非参考にして下さい。
中古車の諸費用を安くするポイント
中古車の購入時にかかる諸費用の相場目安は、おおよそ20万~30万円程度です。殆どの中古車はこの範囲で収まるでしょう。この諸費用の相場目安のなかでも、中古車の諸費用を安くするポイントがありますので紹介します。
まず、車検が残っている中古車を購入する場合は、消耗品の状況などの観点で不要な諸費用もあるので、もう少し諸費用が安くなるはずです。また、車検の残存期間が長ければ重量税を含む車検費用も削減できるので、その点でも諸費用を安くすることにつながるでしょう。
さらに、エコカー減税の対象車や自動車税の安い車を選ぶことで、諸費用を安くすることもできます。エコカー減税対象車は、電気自動車・プラグインハイブリッド自動車・燃料電池自動車・クリーンディーゼル乗用車・天然ガス自動車・ハイブリッド自動車を含む環境性能に優れたガソリン自動車などが該当し、自動車税は、登録の時期や車の排気量に応じて税額が決まります。
他にも、中古車の諸費用を安くするポイントはいくつかあります。
- 車庫証明を自分で申請する
- 整備、点検費用の内訳をチェックする
- 洗車、クリーニング費用の内訳をチェックする
- 納車費用をチェックし、可能であれば直接販売店に車を取りに行く
- 下取り費用をチェックする
※上記の詳細は後述する中古車購入時にかかる主な手数料と相場で詳しく解説しています
なお、諸費用の相場目安が10%~20%と言われていることもありますが、それだと50万円の中古車は5万~10万円ということになります。本体価格によって大きく変わってしまうので、一概に%で考えるのは難しいでしょう。
重要なのは諸費用ではなく総額で判断すること
冒頭でもお伝えしましたが、お店によって利益を確保しているポイントがそれぞれ異なります。
車両本体価格に利益を殆ど乗せず、諸費用で利益を確保しているところもあれば、反対に車両本体価格で利益を確保しているお店もあります。
ですから、一概に諸費用が安ければ良心的、高ければボッタクリとも言えません。諸費用が多少割高でも、車両本体価格が相場より安ければ、それでもお得な場合もあるからです。
しかし、あまりにも諸費用が相場より高い場合、知識が無い方をターゲットにした悪徳な業者である可能性が高いのもまた事実。
そういった業者に騙されないように、中古車の購入を検討する際は、必ず総額で比較するようにしましょう。さらに、諸費用の内訳をみればそれぞれの金額が適正なのかどうかも判断することが出来ます。
適正な価格でない場合、値引き交渉できるかもしれないので、交渉してみる価値はあるかもしれません。
中古車購入に関わる諸費用の内訳
中古車購入時に発生する諸費用は、大きく分けて2つに分けることができます。
中古車購入時に必ずかかる法定費用と代行費用や整備費用などの手数料です。
中古車購入時にかかる法定費用
中古車購入時には、必ず発生する法定費用というものがあります。
具体的に項目を挙げると、
- 取得税
- 自動車税
- 重量税(車検が切れている場合のみ)
- 自賠責保険料(自賠責保険未経過相当額)
- リサイクル料金
- 消費税
があります。
取得税
取得税は、車を購入した時にかかる税金です。普通車の場合は取得価額の3%、軽自動車の場合は取得価額の2%になります。
取得価額とは、車の購入金額ではなく、課税標準基準額×残価率で計算されます。取得価額が50万円以下になった場合、取得税はかかりません。
課税標準基準額は、車種やグレードごとに地方財務協会が定めていて、一般の方に公開されているわけではありません。自分で計算する際は、新車価格の90%が目安になります。
また、残価率は新車時を1とし、経過年数によって減少します。
普通車の残価率
経過年数 |
1年 |
1.5年 |
2年 |
2.5年 |
3年 |
3.5年 |
4年 |
残価率 |
0.681 |
0.561 |
0.464 |
0.382 |
0.316 |
0.261 |
0.215 |
経過年数 |
4.5年 |
5年 |
5.5年 |
6年 |
|||
残価率 |
0.177 |
0.146 |
0.121 |
0.1 |
軽自動車の残価率
経過年数 |
1年 |
1.5年 |
2年 |
2.5年 |
3年 |
3.5年 |
4年 |
残価率 |
0.562 |
0.422 |
0.316 |
0.237 |
0.177 |
0.133 |
0.1 |
※スマホの場合、表の中身は横にスライドできます。
- 課税標準基準額が200万、3年3ヶ月経過している普通車を購入
- 取得価額=200万×0.261=52.2万円
- 自動車取得税=52.2万円×3%=15,660円
なお、この自動車取得税は、消費税が10%に増税されると廃止になる予定です。その代わりに、環境性能割が導入されます。
参考資料:平成31年度(2019年度)税制改正について 経済産業省
自動車税
自動車税は、車の排気量によって金額が変わります。4月1日時点で車を所有している人に課税され、4月~3月の1年分を支払います。
普通車の場合、売却時に還付されるので、購入時には月割りで計算して残りの分を支払います。
軽自動車の場合は、還付制度がないので、中古車購入時の諸費用には含まれません。
自家用乗用車の場合、排気量毎の自動車税は以下の通りです。
軽自動車 |
10,800円 |
1ℓ以下 |
29,500円 |
1~1.5ℓ以下 |
34,500円 |
1.5~2ℓ以下 |
39,500円 |
2~2.5ℓ以下 |
45,000円 |
2.5~3ℓ以下 |
51,000円 |
3~3.5ℓ以下 |
58,000円 |
3.5~4ℓ以下 |
66,500円 |
4~4.5ℓ以下 |
76,500円 |
4.5~6ℓ以下 |
88,000円 |
6ℓ以上 |
111,000円 |
貨物や事業用として登録する車は、上記の表とは金額が異なります。
また、初年度登録から13年以上経過しているガソリン車、11年以上経過しているディーゼル車の自動車税は15%増税されます。
重量税
重量税は、車検時にかかる税金です。車検がついていない中古車を購入する場合は諸費用に計算されます。車検が残っている中古車を購入する場合、重量税はかかりません。
自家用乗用車の場合、重量税は以下の通りです。
エコカー |
基本 |
13年経過 |
18年経過 |
|
軽自動車 |
5,000円 |
6,600円 |
8,200円 |
8,800円 |
0.5t以下 |
5,000円 |
8,200円 |
11,400円 |
12,600円 |
0.5~1t以下 |
10,000円 |
16,400円 |
22,800円 |
25,200円 |
1~1.5t以下 |
15,000円 |
24,600円 |
34,200円 |
37,800円 |
1.5~2t以下 |
20,000円 |
32,800円 |
45,600円 |
50,400円 |
2~2.5t以下 |
25,000円 |
41,000円 |
57,000円 |
63,000円 |
2.5~3t以下 |
30,000円 |
49,200円 |
68,400円 |
75,600円 |
※スマホの場合、表の中身は横にスライドできます。
自賠責保険料
自賠責保険料は、強制保険とも呼ばれ、加入していなければ車検も受けることが出来ません。車検時に次の車検期間まで更新されますが、廃車時に解約すれば月割りで還付されます。
自賠責は車検が残っていると解約できませんが、車の売却時には、残り期間に応じた自賠責分を査定に含めることが一般的です。
そのため、車検の残っている中古車を購入する時には、自賠責保険未経過相当額として月割りで計算されます。
自賠責保険料の金額や、自賠責保険について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にして下さい。
リサイクル料金
リサイクル料金は、車を廃車にするときに必要な料金を新車購入時に預託し、ディーラからリサイクル券が発行されます。
リサイクル料金は車の最終所有者が負担することになっているため、売却時には返金され、新しくその車を購入する人が支払う必要があります。
今後車を売却したり、廃車にする際には必ず必要になるので、なくさず保管しておきましょう。
リサイクル料金は、車種によって金額が違います。各自動車メーカのホームページや、自動車リサイクルシステムで検索できます。
消費税
中古車の購入には上記のような法定費用を除いた金額に対して消費税がかかります。この後にご紹介する各種手数料が増えれば増えるほど消費税の金額も大きくなるので注意して下さい。
また、車両本体価格は税込み表示、もしくは消費税分が表示されているはずです。
車両本体にかかる消費税は、車の価格によって大きく変わるので、諸費用を計算する際には別で考えたほうが分かりやすいと思います。
中古車購入時にかかる主な手数料と相場目安
中古車購入時にかかる諸費用には、法定費用以外の手数料も含まれます。
主な手数料は、
- 登録代行手数料
- 車庫証明代行手数料
- 整備、点検費用
- 洗車、クリーニング費用
- 納車費用
- 下取り費用
等があります。
これらの手数料は、法定費用とは違い、販売店が独自で金額を設定しているので、値引き交渉も可能な費用です。
また、車両本体を安く表示している販売店は、手数料が相場より高かったり、良く分からない費用が発生している場合もあります。
そのため、中古車購入時には、特に手数料を良く確認し、内容が不明な手数料があればしっかり確認することが大切です。
登録代行費用
登録代行手数料とは、車の名義変更にかかる費用で、相場は1.5~2万円程度になります。名義変更にかかる印紙代や、希望ナンバーを取得する場合は、別で計算されることもあります。
全て含まれている場合、3万円程度になることもありますが、それを超える費用が発生している場合は少し注意しましょう。
また、仮に名義変更の知識があったとしても、重要な書類を預けてくれるという可能性は低いため、基本的には販売店が行います。
普通車であれば車両の持ち込みが必要になるので尚更難しいはずです。この登録費用に関しては、相場を大きく超えていない限り、値引き交渉は難しいでしょう。
車庫証明代行費用
車庫証明は、普通車の場合は必ず必要になるので、その申請を代行する費用です。
車庫証明代行手数料の相場は1~1.5万円程度ですが、書類を書いて警察署へ出しに行くだけなので自分でも簡単にできます。
自分で申請するなら費用は3000円程度で済みますので、余計な手数料を省くことができるでしょう。
ただし、車庫証明の受付は平日のみで、申請と受取の2回足を運ぶ必要があります。
車庫証明の申請や受取は代理人でも可能で、委任状なども必要ありません。代わりに行ける人がいない場合や、平日に時間がなかなか取れないのであれば、手数料がかかってもお願いした方が良いでしょう。
整備、点検費用
中古車の購入時には、納車前に必要な整備や点検を行うのが基本です。納車後にすぐ故障したとなれば、トラブルになる可能性が高いからです。
整備の内容や車検の有無によっても費用は大きく変わりますが、点検程度なら1~2万円程度、車検整備がある場合には3~5万円程度が相場になるでしょう。
車両本体価格を安く表示している販売店は、ここで利益を確保する場合が多く、中には10万円を超えるケースもあります。
この費用が相場よりもかなり高い場合は、実際にどんな整備や点検をするのかを確認し、余計な費用が含まれていないかチェックしましょう。
洗車、クリーニング費用
洗車や車内のクリーニング、磨きやコーティングなどの費用になります。納車準備費用などと表記されていることも多いです。
一般的な相場は1万円以下ですが、コーティングなどを依頼すると高額になりがちです。
車両本体価格が安い販売店の場合、こちらから何も頼んでいなかったとしても、高額なコーティングなどがセットになっていて外せないこともあるようです。
その場合、利益確保の名目としてコーティングが入っているだけという場合もあり、しっかりした施工が行われない可能性もあります。
今はコーティング専門店などもあるので、そのようなお店での購入は避け、コーティングは別で依頼した方が施工もしっかりしていて安心でしょう。
納車費用
納車費用は、自宅まで車を運んでくれる費用です。販売店によっては、洗車などの準備費用を含んでいる場合もあります。
納車費用は距離によって金額が変わるため、車で1時間以内の近場なら0.5~1万円程度、2~3時間くらいの距離なら2~3万円程度が目安です。
それ以上の距離になると、陸送業者に依頼することも多いので、遠方の販売店で購入する場合は事前に納車費用がいくらかかるか確認しておきましょう。
販売店に車を取りに行けるのであれば、納車費用はかからなかったり、割引になるはずです。
下取り費用
今乗っている車を下取りに出す場合、名義変更や廃車の手続きを行うための手数料がかかることがあります。
その場合、1~1.5万円程度が相場ですが、下取りする車に値段がついた場合は、基本的にはかかりません。
また、廃車はお金がかかると思っている方も多いですが、今の時代は事故車や不動車でも買い取ってくれる時代です。
海外に輸出する業者などは値をつけてくれることもありますし、最悪の場合でも解体屋さんにいけば鉄くずとして引き取ってくれます。
例え下取りが0円の査定だったとしても、手数料を払ってまで引き取ってもらうものでもありません。
どこにお願いしたら分からないという方は、廃車買取専門店「ハイシャル」がおすすめです。
手数料などの追加費用が発生することなく、0円以上の買取が補償されているので、一度見積りをしてみて下さいね。
中古車購入時には保証の内容も確認必須!
中古車は新車と違い、故障するリスクが高く、購入後のトラブルも多いので、保証の有無、その内容についてしっかり確認しておきましょう。
販売店によって保証の内容は様々で、そもそも保証がなかったり、あっても1ヶ月や1000kmといった殆ど意味のない保証もあります。
保証が無い現状販売や、極端に保証が短い場合、販売している中古車に自信がないと言っているようなものです。
そのような販売店で購入すると、粗悪な車を購入してしまう確率も高くなるので、一度購入を見直したほうが良いかもしれません。
中古車であっても、状態の良い車を仕入れ、しっかり整備や点検を行っている販売店は、ある程度の期間保証をつけているはずです。
特にディーラー系の中古車販売店は、1年ほどの保証がついていたり、さらに延長ができたりする場合も多くなっています。
ディーラー系でなくても、販売する中古車に一定以上の基準を設けたり、しっかり点検、整備しているところでは、3ヶ月~半年程度の保証はあるでしょう。
価格の安さを重視したい気持ちは分かりますが、中古車は返品できないので、保証がしっかり付いている車を購入したほうが安心です。
有料の保証を付けることもできる
最近では、有料の保証をつけることができる販売店も増えてきています。有料なので、保険といったほうがイメージしやすいかもしれませんね。
保証内容や期間によって金額は変わりますが、可能なら1~2年程度の保証を付けておくと安心できます。但し、保証といっても全ての項目が対象となるわけではないので勘違いしてはいけません。
タイヤなどの消耗品や、走行時に傷付くことも多いガラスなどは保証されないので注意しましょう。長期の有料保証は高額になるので、そこまで長い保証をつける必要はないと思います。
まとめ
中古車購入時の諸費用は、不透明な部分も多く、何にいくらかかっているのか明確にすることが必要です。
車両本体価格を安く表示し、高額な諸費用で利益を得ているお店も多いので、必ず諸費用を含めた総額で比較するようにしましょう。
また、安さだけでなく、購入後の保証が付いているかも中古車選びの大事なポイントです。見た目はキレイでも、持ち主が変わって乗り方が変わると、思わぬ故障が現れたりします。
そんな時でも保証があれば余計な出費を抑えることができるので、保証を含めた価格で安心して乗れる中古車を選びましょう。
中古車をお得に購入したいなら非公開車両の存在は御存知でしょうか?お得な中古車が見つかるだけでなく、新古車などの良質な車も見つかりやすくなるはずです。
非公開車両については、こちらの記事も参考にして下さい。