カーリースは変動しがちな車の維持費などを予めまとめることにより、月々の支払いをできる限り定額にできる便利なサービスです。
カーリースは法人用向けというイメージがこれまでは強かったですが、ここ数年は個人向けのリースも注目されていて、年々利用者は増えてきています。
そんなカーリースですが、契約の内容がやや複雑で、良く理解しないまま利用して失敗してしまう人も多くいるようです。
ここでは、カーリースで多い失敗例や契約前に確認しておきたいことをまとめました。カーリースの利用を検討している人は参考にして下さい。
カーリース利用者の良くある失敗例
カーリースは月々の支払いが安くなる、メンテナンス費用などもコミコミで維持費が定額になる、といったメリットばかりが強調され、デメリットを理解せず契約してしまう人も多いです。
カーリースでは、以下のような失敗例が多くあるので注意してください。
- 途中で解約しようとしたらできなかった
- 契約期間中に事故を起こしてしまった
- 契約終了時に高額な精算金が発生した
- 生活環境が変化して支払いが厳しくなった
途中で解約しようとしたらできなかった
カーリースはリース会社によっても違いますが、1年~11年までの長期契約となる場合が殆どで、基本的に契約を途中で解約することはできません。
もし、やむを得ず中途解約を希望する場合、残りの利用期間に応じて違約金(解約金)が発生します。
今後利用しない車のために高額な料金を支払うことになってしまったり、解約したくてもできないという失敗が多いので注意してください。
実際にどれくらいの違約金が発生するかというと、リース会社によっても多少の違いはありますが、基本的には以下の計算式で求められます。
例えば、月額2万円の車を残価60万円で5年契約し、3年後に中途解約したとします。解約時の手数料は2万円、未経過分の税金などを10万円、査定額は70万円で計算してみましょう。
このように、途中でやむを得ず解約することになった場合、上記のケースでは今後乗ることのない車に30万円も支払うことになります。
しかも、この金額は基本的に現金で一括精算となるため、解約したくてもできないという事態にもなりかねません。
とはいえ、これはローンで車を購入する場合も同じことがいえます。なぜなら、途中で車を売却しても元金を上回る金額で売れることは殆どなく、ローンだけが残る形になるからです。
必要以上に気にすることはありませんが、カーリースの契約をする時は中途解約のリスクがあることを理解して契約しましょう。
契約期間中に事故を起こしてしまった
カーリースの契約中に事故を起こしてしまい、車に傷や凹みなどができた場合、修理費用は利用者が負担することになります。
多少の擦り傷程度なら大した金額にはなりませんが、凹みや傷の程度によっては修理費用も大きくなるでしょう。
仮に車が全損となってしまった場合はさらに大変です。普通なら廃車にするところですが、カーリースの場合はそう単純にはいきません。
なぜなら、廃車をするためにはリース契約を解約しなくてはいけないため、このケースでも解約金が発生してしまうからです。
ちなみに、先ほど例として解約金を計算しましたが、同じように計算した場合、廃車なので現在の車の査定額は0円になります。
つまり、解約金が100万円もかかってしまうということになり、廃車ができなくなる可能性も否定できません。
ただし、車両保険に入っていた場合は全損で保険金が受けとれるはずです。
金額にもよりますが、保険金を解約金にあてれば廃車することができるので、万が一のときに備えてカーリースでは車両保険に加入しておいたほうが良いでしょう。
契約終了時に高額な精算金が発生した
カーリースでは、契約時に車の残価(下取り価格)を公表するオープンエンド契約と、残価を公表しないクローズエンド契約が存在します。
オープンエンド契約は残価をある程度自由に設定できるため、残価を高く設定すれば月々の利用料金もその分安くなるというのがメリットです。
しかし、オープンエンド契約は契約終了後に車を査定し、その査定額が最初に設定した残価に満たなければ差額を精算しなければなりません。
つまり、最初に設定した残価が相場より高かったり、何らかの原因で車の価値が下がってしまった場合は契約終了時に高額な精算金を支払うことになってしまうのです。
実際、月々の利用料金を安く見せるために、元々残価を高めに設定しているリース会社は存在します。同じ車種、同じ契約年数で比較し、他社より極端に安かった場合は注意してください。
また、クローズエンド契約の場合は残価をリース会社が設定しているため、仮に契約終了後に残価を下回ったとしても契約者側に責任はありません。
ただし、原状回復義務はあるため、全くメンテナンスをしなかったことで車が故障していたり、傷や凹みなどがある場合に修理費用がかかることはあるので注意してください。
クローズエンド契約の場合、高額な精算金が発生する心配は基本的にありませんが、残価を低めに設定されている場合が多く、月々の利用料金は高くなる傾向にあるでしょう。
このように、オープンエンド契約とクローズエンド契約は、どちらもメリットとデメリットがあります。
どちらが良いということはありませんが、車の状態に責任をもって大切に扱える人はオープンエンド契約、契約終了時の状態に少し不安を感じる人はクローズエンド契約が良いかもしれません。
生活環境が変化して支払いが厳しくなった
カーリースの契約は年単位の長期契約です。最初は問題なく支払いができていても、結婚や出産、仕事の転勤や転職などにより生活環境が大きく変わることは十分考えられます。
生活環境の変化が原因で毎月の支払いが厳しくなり、解約しようにも違約金が払えなくてできないといったケースもあるので注意してください。
ちなみに、カーリースでは残価設定がある関係上、走行距離に制限がある場合も多く、転勤などで通勤距離が伸びてしまうとオーバーしてしまう可能性もあります。
もし走行距離が大幅に増えてしまった場合、契約終了時にオーバーした距離に応じて精算が必要になるため、その分も用意しなければならなくなるでしょう。
生活環境の変化で支払いが厳しくなってしまうのはカーリースに限った話ではなく、ローンで車を購入するときにも同じです。
審査に通るからといって生活を圧迫するような契約は避け、月々の支払い額は余裕をもって設定してください。
また、カーリースは月額料金に税金や車検代なども含まれていることが多く、ローンで購入するときに比べれば急な出費は少ないかもしれません。
しかし、リース会社によっても月額料金にどこまで含まれているかは違うため、契約時に確認して理解しておくことも大切です。
カーリースで失敗しないために確認しておくこと
カーリースで失敗しないためには、契約内容を良く理解することです、特に以下の点は契約前に必ず確認しておきましょう。
- 月々の支払い額は無理をしていないか
- 残価設定額は妥当な価格か
- 中途解約時のリスク
- 事故が起きたときに備える保険の内容
月々の支払い額は無理をしていないか
カーリースを契約する前に、月々の支払い額に無理がないか確認しておきましょう。途中で支払いが難しくなったからといって解約はできないので注意してください。
カーリースは税金やメンテナンス費用なども月額料金に含まれていることが多く、車の維持費を管理しやすくなっていますが、リース会社によっても月額料金に含まれている内容は違います。
例えば、メンテナンス費用が含まれているといっても、高額になりやすいタイヤ交換が含まれていないことは多いですし、車検代も基本料金以外は別途料金が発生する場合も多いです。
また、税金やメンテナンス費用以外にも、車を乗るには自動車保険料やガソリン代といった維持費がかかることを忘れてはいけません。
ローンで購入するときと比較すれば維持費の管理はしやすいですが、毎月かかる費用を契約前に全て計算し、カーリースの支払いに無理がないか必ず確認しておきましょう。
残価設定額は妥当な価格か
オープンエンド契約のカーリースを利用する場合、最初に設定した残価(下取り価格)によって月々の料金が決まります。
オープンエンド契約のカーリースでは、同意の上であれば残価を高く設定できるため、残価を高く設定しすぎると契約終了時に高額な精算金が発生するので注意してください。
もし、契約前に残価が妥当な金額かどうかわからない場合、新車であれば基本的に車両価格は同じはずなので、同じオープンエンド契約の他社と比較すればわかります。
ちなみに、オープンエンド契約の場合は契約終了時に『買い取り』を選択できることも特徴です。はじめから買い取りを希望する場合は残価を気にする必要はないかもしれません。
一方、クローズエンド契約の場合、残価は公表されていませんが、契約終了後に残価との差額があったとしてもリース会社の責任となるため、基本的に高額な精算金が発生する心配はないです。
残価設定額が妥当かどうかはリース料をみて判断するしかなく、殆どの場合はリース会社が損をしないように残価は低めに設定されているでしょう。
オープンエンド契約よりもややリース料が高くなる傾向にありますが、リースの契約は長いため、契約終了後のリスクを考えれば基本的にはクローズエンド契約のカーリースをおすすめします。
クローズエンド契約は基本的に返却が前提となりますが、定額カルモくんのように買取が可能なリース会社もあるため、購入するかもしれない人でもそのようなところを選べば安心です。
中途解約時のリスク
カーリースを利用する上で、中途解約のリスクがあることは理解しておく必要があります。
中途解約なんてしないと思っていても、リース契約は年単位の長期契約となるため何が起きるかわかりません。
ローンで購入する場合も同じことがいえるので、過度に心配する必要はありませんが、あまりにも長期に渡る契約を結ぶ際は注意してください。
また、中途解約が全てのリース会社でできないわけではありません。
トヨタのKINTOのように海外転勤や免許返納時など、条件付きで無償解約できる場合もありますし、リースナブルのようにいつでも解約可能なリース会社もあります。(残価との差額は精算が必要)
ちなみに、カーリースは年単位での契約が一般的ですが、比較的新しい車のサブスクリプションサービスでは数ヶ月~の利用も可能です。
短期利用を考えている人や、中途解約リスクが気になる人にはサブスクを利用するという選択肢もあるので、興味があれば下記の記事も参考にして下さい。
事故が起きたときに備える保険の内容
カーリースを利用する際に最も重要なことは、万が一事故が起きた時に保証される保険です。カーリースでは、基本的に自動車保険は自分で加入することになります。
その際、保険料が高いからと車両保険に加入しない人もいますが、もし車が全損するような事故を起こした場合、車両代にプラスして高額な解約金を払わなければなりません。
ですから、万が一の場合に備えて、カーリースを利用するなら車両保険付きの自動車保険に加入することをおすすめします。
また、一口に車両保険といっても大きくわけて2種類あり、幅広いケースで保証される一般タイプと車対車の事故などに限定されるタイプがあります。
保証されるケースが限定されるタイプの車両保険は保険料が安いですが、自損事故などでは保証されないので注意してください。
ちなみに、自動車保険には等級や年齢制限があり、免許を取ったばかりの人や若い人は、車両保険をつけると保険料がかなり高くなります。
もし、『保険にしっかり入りたいけど高すぎる!』という人は、自動車保険まで月額料金に含まれているトヨタのKINTOがおすすめです。
Kintoは年齢や等級によって料金が変わらない仕組みになっているため、特に保険料が高い人はお得に利用できるはずですよ!
まとめ
カーリースは契約の内容が複雑で、良く変わらないまま安いからという理由で利用してしまう人も少なくありません。
カーリースを利用して後悔しないためにも、
- 保険料なども含めた月々の総支払額
- 残価設定額
- 中途解約時のリスク
- 自動車保険の内容と金額
上記の4つはしっかりと確認し、失敗を事前に防ぎましょう。
カーリースにはオープンエンド契約とクローズエンド契約があり、どちらにもメリットとデメリットはありますが、クローズエンド契約のほうが失敗は少ないです。
最近では人気のカーリースの殆どはクローズエンド契約が多くなっています。よろしければ下記の記事も参考にしてください。
また、カーリースは新車のイメージが強いですが、中古車のリースを扱っているところもあります。
中古車は故障のリスクがあるとはいえ、車の価格が新車より安く、さらに安いリース料で車に乗ることが可能です。
月々の支払い額を抑えたい人や、新車にこだわりがなければ中古車のリースも検討してみて下さい。