車はこれまで購入して所有するという形が一般的でしたが、時代の変化とニーズの多様化により車を所有しないサブスクリプションサービスが今注目を集めています。
しかし、これまでもカーリースやレンタカー、カーシェアリングといったように、車を所有しないで利用できるサービスは他にもありました。
特にカーリースとサブスクは似ており、どんな違いがあるのか良く分からないという方も多いのではないでしょうか?
ここでは、車のサブスクについてはもちろんのこと、リースやレンタカー、カーシェアの違いについても解説します。
各社のサービス内容や料金についても比較していますので、車のサブスクが気になっている方は参考にして下さい。
車のサブスクとは?
車のサブスクとは、簡単に言えば月々定額で車を利用できるサービスで、車の維持費が管理しやすいというのが特徴です。
サービスによっても変わりますが、毎月支払う料金の中には自動車税などの税金や車検費用、オイル交換などの定期的なメンテナンス費用や任意保険の保険料、自賠責保険なども含まれています。
頭金や車を購入する時にかかる環境性能割、登録費用などの初期費用も不要で、手軽に車を所有した気分になれるというのが車のサブスクのメリットです。
車というのは、乗る頻度に関わらず所有しているだけでお金がかかるため、家計を圧迫する大きな要因の1つとなっています。
急に車が不要になっても簡単に処分できないため、車を所有することにデメリットを感じる方は少なくありません。
そんな車を所有したくないというニーズが高まって生まれたのが車のサブスクです。最近ではコロナ禍で変化する時代に対応するために、車のサブスクに対する関心は益々高まっています。
車のサブスクとカーリースの違い
車のサブスクとカーリースは良く似たサービスで、どちらも定額で車を利用できます。結論から言えば、この2つのサービスに明確な違いというのはありません。
実際、カーリースを提供するサービスでもサブスクと謳っている場合もありますし、同じサービスの中でカーリースとサブスクという言葉が混在しているケースも多いです。
ただ、強いて言えばサブスクのほうがより手軽に利用できるサービスといえます。利用できる期間についてもサブスクの方が短期間から利用できる場合が多いです。
例えば、どちらも車検やメンテナンス費用などの維持費を含めた定額制という部分は同じですが、車のサブスクは任意保険まで料金に含まれていることも多くなっています。
今まで契約していた任意保険の等級を引き継ぐことはできませんが、手軽に車を利用したい人にとってはわざわざ自分で保険を契約しなくてもよいので、これは1つのメリットといえるでしょう。
最短1ヶ月の短期利用ができるサブスクや審査不要なサービスも!
利用期間については基本的に年単位ですが、最短1ヶ月からといった短期利用できるサブスクもあり、今後も求められるニーズに合わせて変化していくかもしれません。
また、車のサブスクは利用時の手続きも簡略化されていて、ネットだけで申込みが完結するものや、LINEだけで完結するものなどがあります。
さらに、カーリースではリース契約を結ぶために審査が必要になりますが、一部のサブスクでは審査も不要でクレジットカードと免許証さえあれば利用可能です。
このように、車のサブスクとカーリースは殆ど同じ意味で使われていることも多いですが、サブスクのほうがより手軽に短期間から利用できるサービスといえます。
ただし、サービス毎に違う部分も多いため、利用する際には注意して利用しましょう。
車のサブスクリプションサービス7社の内容や料金を比較
車のサブスクサービスを謳う会社は多くありますが、内容がそれぞれ微妙に違っていたりするため、比較するときに迷ってしまう方も多いと思います。
そこで、車のサブスク(リース)サービスの特徴やサービス内容を比較してみました。今回比較するのは以下の7社です。
- KINTO(トヨタ)
- クリックモビ(日産)
- マンスリーオーナー(ホンダ)
- ニコリース
- リースナブル
- NOREL
- おトクにマイカー 定額カルモくん
上記以外のサービスが気になる場合は下記の記事も参考にしてください。
自動車のサブスクサービス比較一覧表
走行距離制限 | 車検・メンテナンス | 審査 | 任意保険 | 利用期間 | 中途解約 | 取り扱い車種 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
KINTO | 1,500km | 〇 | あり | 〇 | 3、5、7年 | △ | トヨタ、レクサスの新車 |
クリックモビ | 1,000kmまたは1,500km | △ (オプション) |
あり | × | 3、5、7年 | × | 日産車(新車) |
マンスリーオーナー | 1,000km | 〇 | なし | 〇 | 1~11ヶ月未満 | 〇 | ホンダ車(中古) |
ニコリース | 1,500km | 〇 | なし | × | 1ヶ月~ | 〇 | 中古車 |
リースナブル | 750km? (公式サイトには記載なし) |
△ (オプション) |
あり (自社リースも可) |
× | 3、5年 | 〇 | 国産車(新車) |
NOREL | 2,000km | × | あり | 〇 | 3ヶ月~ | 〇 |
中古車(外車も可) |
定額カルモくん | 1,500km (無制限オプションあり) |
△ (オプション) |
あり | × | 1~11年 | × | 新車、中古車(国産) |
※上記の一覧は記事作成時の情報を元に作成されています。内容が変更される場合もあるので、利用する際は必ずご自身で各サービスの最新情報を確認してください。
【トヨタの新車サブスク】KINTOの特徴
- トヨタやレクサスの新車が定額で乗れる
- 料金は車検やメンテ、保険料までコミコミ
- 利用期間は最低3年~
- 中途解約や乗換などにも対応可能(別途手数料)
- 全国対応(利用できる店舗数が多い)
KINTOはトヨタグループが運営するサブスクで、トヨタやレクサスの最新安全装備が搭載された新車を気軽に利用することができます。(中古車は一部の店舗と直売カーセンサー限定)
KINTOの特徴は、車検を含むメンテナンス費用や各種税金、任意保険料までサブスクの料金に含まれていて、他にかかる費用はガソリン代程度となっていること。
契約期間は最低3年からでサブスクとしては長いですが、海外出張や免許返納時など、車を運転が困難になった場合は中途解約金不要で契約を解除できます。(車両状態によっては清算金が必要)
また、契約期間内でも割安な手数料で車の乗り換えが可能で、長期間の契約でもライフスタイルの変化に応じて対応しやすいというのもKINTOの特徴です。
KINTOに対応している店舗数も多く、全国にある多くのディーラーで対応しています。
KINTOはネットから申し込みが可能で、新車ということもあり納車までに少し時間はかかりますが、納車までは店舗に行く必要もありません。
【日産の新車サブスク】クリックモビの特徴
- 日産の新車が定額で乗れる
- 任意保険や一部メンテナンス費用が別途必要
- 契約終了時に返却、再リース、購入が選べる
- 最低利用年数は3年~
クリックモビは日産グループが運営するサブスクサービスで、日産の新車を定額で乗ることができます。
クリックモビの料金には自動車税や重量税などの税金、メンテナンス費用も含まれていますが、任意保険は別で契約する必要があり、メンテナンスもオイルなどの消耗品以外は別料金です。
例えば、5年以上車を乗ってブレーキパッドやファンベルトなどの交換が必要になった場合、部品代や交換費用を別途負担する費用があるので注意してください。
また、クリックモビは契約終了後に返却、再リース、購入といった3つの選択肢から選べるという特徴があります。(3年契約は購入不可)
ただし、選べるオプションがかなり限定されるので、こだわりがある方は最初から購入を検討されたほうが良いかもしれません。
このように、クリックモビはサブスクとは謳っているものの、基本的に一般的なカーリースと条件はほぼ同じです。
気軽に利用するというよりは、購入時と同じようによく考えて利用しましょう。
【ホンダの中古車サブスク】Honda マンスリーオーナーの特徴
- ホンダの中古車が定額で乗れる
- 利用期間は1ヶ月~11ヵ月まで
- 料金は車検やメンテ、任意保険まで全てコミコミ
- 支払いはクレジットカードのみ
- 利用可能な店舗が少ない(全国で31店舗)
Hondaマンスリーオーナーは、ホンダの中古車を定額で乗ることができるサブスクサービスです。
Hondaマンスリーオーナーの特徴は、最短1ヶ月から11ヶ月までの短期利用を想定しているサブスクサービスで、月額料金にはメンテナンスや任意保険もすべて含まれています。
手軽に使い始めていつでも辞められるので、他のサブスクサービスと同じような感覚で車を利用できる画期的なサービスといえるでしょう。
また、Hondaマンスリーオーナーは、料金の支払いがクレジットカードに限定されています。
カーリースのように契約時の審査は不要で、誰でも利用できるというのも特徴の1つです。(初回の会員登録時には簡単な審査があります)
申し込みはWebのみとなっていて、車の受け取りも店舗のみ。レンタカーとは違い、車庫証明をとる必要があるため多少時間はかかりますが、早ければ申し込みから3週間程度で利用できます。
このように、Hondaマンスリーオーナーは、車サブスクという言葉にふさわしい便利なサービスとなっていますが、残念ながら全国で31店舗(2021年3月現在)しか対応していません。
対応店舗が急激に増えていて、2021年9月時点では107店舗まで拡大中。
お住いの地域によっては利用したくてもできない場合もありますので、詳しい店舗については公式サイトで確認してください。
※5/27追記
ついにホンダも新車のサブスクサービスがスタートしました。詳しくは下記の記事にまとめていますので、よろしければ参考にして下さい。
【短期利用向けの中古車サブスク】ニコリースの特徴
- 掲載されている中古車から選べる
- 利用期間は最短1ヶ月~
- 初期費用が1ヶ月分別途かかる
- 任意保険や車庫証明書が別料金
- 契約時に連帯保証人が必要
- 利用可能地域は関東圏のみ
ニコリースはニコニコレンタカーをFC展開している株式会社MICが運営するサブスクです。レンタカーとは違うので、もちろん車のナンバーは『わ』ナンバーではありません。
車はメーカー問わず掲載されている中古車から選ぶことができます。軽自動車から大型のバンまでいろいろなタイプの車が揃っており、最短1ヶ月から利用可能です。
ニコリースは6ヶ月毎に無料点検がついていて、点検をうけていれば車両保証が適用できるため、基本的にメンテナンス費用はかかりません。
注意点として、ニコリースは他社と比較しても月額の料金は低めに設定されていますが、初期費用が1ヶ月分かかります。
支払い方法は一括前納、もしくは月払いのクレジットカードから選択可能です。カーリースのような審査は不要ですが、契約には連帯保証人が必要になります。
さらに、一括払いを選択する場合は5万円の車両敷金が別途必要なので注意してください。(クレジット払いは不要、返却時に車に問題がなければ返金されます)
また、ニコリースの料金には車庫証明の代行費用が含まれていないため、依頼する場合は別途費用がかかります。(自分で車庫証明をとれば不要)
ニコリースは自分でする手続きが他社より多く、任意保険も別途必要になるため、総合的にみて安いのかどうかを判断する必要があるでしょう。
ちなみに、ニコリースの対応地域は関東圏だけです。山梨県と静岡県については一部しか対応していないようなので、詳しくは問い合わせて確認してください。
短期利用にこだわらないのであれば、新車カーリースの定額ニコノリパックもあります。
【自社ローンも可能な新車サブスク】リースナブルの特徴
- 掲載されている国産メーカーの新車から選べる
- 最短3年~利用可能
- 月額料金は安いがメンテや任意保険は別料金
- 契約期間中でも解約、乗り換え、買取が可能
- 自社リースも可能(首都圏、東海、関西限定)
リースナブルは株式会社三和サービスが運営するカーリースで、新車が業界最安値水準の月額6,600円(税込)~乗れるという低価格設定が特徴です。(軽自動車でボーナス加算ありの最安プラン)
カーリースではあるものの、契約期間中の解約がいつでもOKなので、乗り換えや買取のタイミングが自由。車のサブスクとしても気軽に利用できます。
ただし、リースナブルの料金は契約終了後の残価をふまえた料金です。解約や乗り換え時に設定した残価を下回った場合は、その分を清算する必要があるので注意してください。
リースナブルの公式サイトには乗用車プランの走行距離制限について記載されていませんが、残価設定をするために必ず目安となる走行距離を設定しているはずです。
調べてみると月750kmで計算されているようなので、もしかしたら車をよく乗る人は契約終了時に高額な料金を清算することになるかもしれません。(プランによって違う可能性もあります)
また、車検の基本料金は含まれていますが、その他の整備については別料金になっていて、メンテナンスパックも有料オプションです。
任意保険も別料金となるため、自分で別途契約して支払う必要があります。他社と料金を比較する際は、任意保険やメンテナンス費用をふまえた価格で比較しましょう。
ちなみに、リースナブルは全国対応可能ですが、自社リースに関しては首都圏、東海、関西地方限定です。
【ガリバーの中古車サブスク】NORELの特徴
- 国産車、外車の中古車が定額で乗れる
- 任意保険料込みだが車両保険なし
- メンテナンス費用は別途必要
- 最短90日~短期と長期契約が選べる
- 契約はLINEで完結、店舗数も多くて便利(全国300店舗)
- カーシェアサービスで車をシェアすることも可能
NORELはガリバーを運営する株式会社IDOMの子会社が提供する車のサブスクで、中古車販売大手であるガリバーネットワークの中古車を低額で利用可能です。
NORELは利用したい期間によって契約方法や料金が変わるという特徴があります。具体的には、最短3か月~利用できるNOREL、1~9年の長期プランとなるコスパNORELです。
一応1ヶ月からでも利用できるようですが、その場合はレンタカーとなり、サービスの内容も変わるので注意してください。
また、NORELは標準で任意保険が料金に含まれていますが、車両保険は対象外になるため、車自体の損害は実費で修理することになります。
その他、メンテナンスや車検費用も含まれていないので、車を維持する費用は車を購入する場合と変わらないかもしれません。
ちなみに、NORELの契約はLINEで完結し、車の受け取りや返却をする店舗も全国300店舗あるので手軽に利用できるサービスといえます。
IDOMグループが運営しているカーシェアサービスで車を使っていない間はシェアすることもできるため、利用料金を事実上安くすることも可能です。
【新車も中古車も利用可能】定額カルモくんの特徴
- 国産の新車、中古車から選べる
- 中古車の在庫が豊富
- 利用期間は新車が1年~11年、中古車は3年~8年
- 車検などのメンテナンス費用は有料オプション
- 任意保険は別途自分で契約が必要
- 乗り放題オプションで契約後に車をもらえる
定額カルモくんは、ナイル株式会社が運営する車のサブスクで、国産車であれば新車、中古車問わず幅広い車種やグレードから好きな車を選ぶことができます。
特に中古車の在庫は他社と比較しても圧倒的に多く、軽自動車からワゴンまで様々なタイプの車が掲載されているため、お気に入りの中古車がみつかる可能性は高いでしょう。
定額カルモくんは最短1年から最長11年まで利用可能で、料金に任意保険は含まれていません。
車検やメンテナンスについても料金には含まれていませんが、有料オプションを追加することで利用料金に含めることも可能です。
また、定額カルモくんには乗り放題オプションという月額500円のサービスがあります。
乗り放題オプションに加入すると、走行距離の制限がなくなるだけでなく、契約終了時には追加料金なしで車がそのままもらえるので、最終的に所有したい人にはおすすめです。
ただし、加入できるのは新車を7年以上で契約した場合に限られるので、契約終了時の残価をよく考えて利用する必要はあるかもしれません。詳しくは公式サイトを御確認下さい。
人気のクルマサブスク7社の中でおすすめはどこ?
クルマのサブスクサービスはそれぞれ特徴も違うで、人によってどこがおすすめなのかも変わってきます。
今回比較した7社の中から、具体的におすすめのサブスクサービスをご紹介します。
年齢が若い人や自動車保険の等級が低い人にはKINTOがおすすめ
車のサブスクは全損事故をおこした際のリスクに備えて、基本的には車両保険付きの自動車保険に加入するのが一般的です。
しかし、車両保険付きの自動車保険となれば、年齢制限による割引を適用できない若い人は保険料がかなり高額。
また、初めて自動車保険に加入する人や、過去に保険を使用して等級が低い人も同じように保険料が高くなってしまうでしょう。
トヨタのKINTOなら、保険料もコミコミで誰が利用しても月額料金は変わりません。つまり、保険料を含めて考えた場合、若い人や等級の低い人はかなりお得に利用できるということです。
インターネットで契約できる通販型の自動車保険会社では、保険料の見積りが簡単にできるので、実際に一度やってみると保険料の高さがわかるはず。
自動車保険料が安い人にはメリットは少ないですが、保険料が高い人にはKINTOはおすすめです。
中古車サブスク、月額料金を極力抑えたい人には定額カルモくんがおすすめ
定額カルモくんは新車なら最長11年という長期プランが選べるので、月々の出費をできるだけ抑えたい人にはおすすめです。
長期プランはクルマの傷や故障が心配になると思いますが、定額カルモくんはメンテナンスプランに原状回復費用の補償(上限金額あり)がついています。
さらに、新車の場合はプラチナのメンテナンスプランに加入すればメーカー保証や特別保証を延長することも可能。
定額カルモくんはこのような手厚いアフターフォローがつくオプションがあるおかげで、長期プランでも安心して乗り続けることができるでしょう。
また、定額カルモくんは中古車の在庫が多いのも特徴で、最長8年までの長期プランにも対応しているため、新車にこだわらなければさらに月額料金を下げることもできます。
他社では中古車を扱っていても在庫が少なくて気に入った車が見つからない場合も多いですが、定額カルモくんなら見つけやすいのでおすすめです。
車のサブスクを利用する際の注意点
車のサブスクを利用する際に注意したいポイントは以下の5つです。
- 基本的に中途解約は不可
- 契約満了時の対応
- 走行距離制限
- 月額料金に含まれる内容
- 事故や故障時の対応
- 駐車場が必要
基本的に中途解約不可
車のサブスクはサービスによって契約期間が決められていて、1ヶ月から利用できるところもあれば、短くても3年からになっているサービスもあります。
1ヶ月から利用できるサブスクは基本的に1ヶ月単位で契約が更新されるため、車が不要になれば比較的気軽に解約ができるでしょう。
しかし、利用期間が年単位のサブスクは予め利用する期間を決めて契約します。一度契約したら基本的に途中で解約することはできません。
試乗も基本的にはできないので、欲しい車が決まっていればディーラーなどで試乗してから契約したほうが無難です。
やむを得ず解約する場合は違約金が発生したり、契約期間分の料金を精算する必要があります。中途解約時の対応についてはサービスごとに違うので、事前に確認しておきましょう。
契約満了時の対応
車のサブスクでは、契約満了時に原状回復するのが基本です。利用期間中についた傷があったり、想定されていない故障などがある場合、修理費用が別途必要になることもあります。
もちろん車の改造やカスタマイズは基本的に禁止されていて、アルミホイールなどの簡単なドレスアップも契約終了時に戻すことになるでしょう。
また、契約にはオープンエンド契約とクローズエンド契約の2種類あり、どちらを採用しているかによって契約満了時の対応は変わってくるので注意してください。
オープンエンド契約とは、いわゆる残価設定型のローンと同じ方式で、予め契約期間終了後の価値を想定して月額の料金を設定しています。
契約終了時には車を再度査定し、最初に設定した残価との差額を精算することになりますが、残価を高めに設定して月々の利用料金を下げたり、契約終了時にはそのまま車を買い取ることも可能です。
悪質な業者では残価を高めに設定して料金を安く見せている場合もあるので、後でトラブルにならないよう設定されている残価が妥当かどうかは必ずチェックしてください。
一方、クローズエンド契約の場合は残価が公表されていないため、基本的に契約期間終了後の残価精算は不要(傷や事故がある場合を除く)で、利用者は安心して車に乗ることができます。
しかし、その分リース会社にはリスクがあるので、オープンエンド方式と比べて利用料金が高く設定されている場合が多いです。
オープンエンド契約のように残価を高くして利用料金を下げたりすることはできず、契約期間終了後は基本的に返却か再契約となるため、契約時の自由度は低いといえるでしょう。
走行距離制限
車のサブスクには月間あたり、もしくは契約期間内での走行距離に制限がある場合が殆どです。決められた走行距離を大幅に超えてしまうと返却時に追加料金がかかるので注意してください。
なぜ走行距離に制限があるのか疑問に思うかもしれませんが、走行距離は車の価値を決める大きな要因の1つで、先ほど説明した残価設定が影響しています。
例えば、走行距離を制限せずに月間1,000km乗る人と2,000km乗る人に新車を3年間貸したとしましょう。
すると、3年後には走行距離が36,000kmの車と72,000kmの車になってしまい、当然ながら72,000km走行している車のほうが価値が下がります。
2倍の走行距離分車を利用しているのに料金が同じでは不公平ですし、制限しなければ契約終了後の残価を想定することができず、業者側が損をしてしまうのです。
走行距離の制限は会社によっても違うので、必ず契約前に確認してください。オプションで走行距離を増やしたり無制限に出来るサービスもあるため、自分の利用環境に合わせて選びましょう。
月額料金に含まれる内容
車のサブスクは様々な会社がサービスを提供していて、それぞれ月額料金に含まれる内容が違うため、契約前に必ず確認する必要があります。
基本的に初期費用などについてはどのサービスも含まれていますが、日頃のメンテナンスや車検代などが含まれていなかったり、オプションになっている場合もあるので注意してください。
また、車の任意保険まで料金に含まれている場合もあれば、自分で加入しなければならない場合もあります。
任意保険の保険料は等級によっても変わるため、どちらが良いかは人によって変わってくるでしょう。
新規で加入する方や年齢の若い人は割引率が低いので、任意保険が含まれているサブスクのほうが安く済むかもしれません。
任意保険は万が一事故が起きた場合を考えると絶対に加入した方が良いです。料金などを比較する際は任意保険まで考慮して比較することをおすすめします。
事故や故障時の対応
万が一事故が起きてしまった場合の対応も契約前に確認しておくと良いでしょう。
例えば、利用料金に任意保険が含まれている場合、予め用意されている保険を利用することになるため、事故対応なども連絡すれば基本的に会社側がおこなってくれるはずです。
一方、自分で任意保険を契約している場合は、自分で保険会社に連絡し、事故対応をしていかなればなりません。
また、故障時についても同様に、メンテナンス費用などが含まれているサブスクの場合は決められた店舗で修理をすることになります。
勝手にその他の店舗で修理することは基本的にできず、連絡をすることなく他店で修理した場合、費用は自己負担になってしまうので注意してください。
メンテナンスが含まれていないサブスクやリースの場合は、自己負担での修理となるので、どこで修理しても問題はありません。
ただし、故障の内容によってはメーカー保証などが適用できる場合もあるため、念のため利用しているサービス会社や受け渡し店舗などに相談することをおすすめします。
駐車場が必要
車のサブスクで以外に忘れがちなのが駐車場です。契約時に車庫証明書が必要になるため、駐車場の確保は必要になります。
自宅に駐車スペースがあって車庫証明書の申請できるなら良いですが、ない場合は月極駐車場などを契約しなければなりません。
特に駐車場代が高額になる都心部などの利用には注意してください。サブスクの利用料金だけでなく、駐車場代も考えて契約しましょう。
車のサブスクって購入するよりお得なの?
車のサブスクはサービスによって内容が違うことや、乗り方や年齢などの条件次第によっても変わるため、一概にどちらがお得とはいえません。KINTOを例にして料金を比較してみましょう。
KINTOの公式サイトには、購入時と比較できるようにシミュレーションができるようになっています。プリウスを例として考えた場合のシミュレーション結果は以下の通りです。
- KINTO(3年プラン)・・・52,360円/月
- 3年ローン(金利5%)・・・82,800円/月
上記の金額には、購入時の初期費用やメンテナンス費用、ローンの金利や保険料などが全て含まれています。
3年ローンで購入するシミュレーションでは、3年間に支払う総額を出し、そこから3年後の下取り価格を差し引いた金額を36ヶ月で均等に分割したものです。
任意保険については年齢制限をしておらず、等級も6等級(新規契約と同じ)で計算されています。
ちなみに、年齢条件を35歳以上(任意保険は18等級として計算)に変更し、3年ローンで購入した場合の支払額は64,500円/月になり、両者の差は1万円程度です。
これを見る限りでは、KINTOのほうが安いように見えますが、実際にはこの通りになるとはいえません。
なぜなら、実際に新車を購入するとなれば値引きもある程度できますし、保険料は人によっても大きく変わってくるからです。
さらに、上記のシミュレーションでは保険料とメンテナンス費用で114万円もかかる計算になっていて、これは月当たり3万円以上の計算です。
新車から3年は殆どメンテナンス費用はかかりませんし、新規で車両保険をつけても月2万円程度のはずなので、少し高すぎるように感じます。
また、上記のシミュレーションでは3年後の下取り価格は約120万円の計算です。しかし、プリウスは人気がありますし、買取店で比較すればもっと高く売れるかもしれません。
このような理由から、シミュレーション結果を鵜呑みにするのはやや疑問があり、実際には購入時の維持費はもう少し安くなると思います。
車のサブスクは車をはじめて購入する人や短期間で乗り換えたい人向き
シミュレーション結果を見る限り、年齢が若くて任意保険の等級が低い人は、購入するよりサブスクのほうがお得になる可能性は高いです。
また、3年や5年で車を乗り換えたい人も、下取り価格次第ではお得になる可能性はあります。
人気車種なら下取り価格も高くつきますが、不人気車種だと3~5年後には価値が思ったより下がっていることもあるので、リスク回避のためにサブスクを利用するのはありかもしれません。
その他にも数ヶ月や1年程度の利用を考えるなら、短期利用できるサブスクのほうがお得になるでしょう。
一方、シミュレーションでもわかるように、ある程度年齢が上がって保険の等級も高くなれば、月々の支払い額は殆ど変わらないということです。
ローン返済後も同じ車を乗り続けるなら、その後の維持費は大幅に下がることになるため、長く乗れば長く乗るほど月あたりの維持費は下がります。
購入する場合は自由にオプションも選ぶことができますし、同じ車を長期で乗るならサブスクよりも購入した方が得ということになるでしょう。
まとめ
車のサブスクはカーリースと良く似ていて、明確な分類はされていませんが、任意保険まで料金に含まれていたり、比較的短期から利用できるという特徴があります。
カーリースよりも手軽に車を所有したように利用できる便利なサービスで、車を所有することにデメリットを感じている人にはおすすめのサービスといえるでしょう。
ただし、車のサブスクサービスはそれぞれ内容や細かいルールが違うため、そのサービスを良く理解してから利用する必要があります。
良く理解しないまま利用すると、契約が終了した際に余計な費用がかかってしまったり、購入するよりも損をすることがあるので注意してください。
また、車サブスクにはメリットだけでなくデメリットもあります。サブスクか購入するかで迷っている人はどちらが良いか整理して検討しましょう。
車サブスクのデメリットについては詳しくは下記の記事でも解説しています。興味のある方は参考にしてください。